別府市新図書館を前にしたオープンプラットフォーム会議が行われました。
いよいよ1年後、2026年3月に別府市新図書館がオープンします。施設の名称は「こもれびパーク」。図書館の他に、地域交流センターも入った複合施設です。この期間、私も加わらせてもらっている市民有志のメンバーで、この別府市の新図書館への疑問、懸念する点を話し合って共有し、行政にも働きかけを行ってきました。
懸念、とは?
この施設内の図書館が、私たち多くの市民が声をあげてきた「市の直営」に決まった事はとても良かったのですが(少なかった蔵書数も約2倍近くに増えて、広く快適な空間になる事も嬉しいのですが)しかし同じ施設内に入るという地域交流センターなる空間が、指定管理者が行うという話しで。しかも市営(公営)の図書館と民間の指定管理者とが合議によって「こもれびパーク」を運営するという話しになっていまして、「それってどういう事!? 」「限りなく指定管理による図書館施設になるのでは!? 」と、周りの別府市民の間で戸惑いの声が今起きているのです。先日の地元議員さんの市政報告会でもその事を発言したところ「それは問題やわ」という先輩方からのお声かけもいただいたばかり。
本日のシンポジウムでは、その新図書館に整備事業アドバイザーとして関わっておられる常世田良さんも登壇されるという事で、市民運動メンバーで別府市公会堂(中央公民館)へ行ってまいりました。先輩からは事前に上記の懸念事項を伝達の上、(私も書きましたが)質問用紙でも指定管理者問題について記入し、最後にひとりだけの質疑応答にも先輩が挙手するも結局当てられず……。とうとう指定管理者による運営の問題には触れられないまま講演とシンポジウムは終わってしまいました。
ちなみに、何故、指定管理者が図書館を運営してはまずいのか? って話しなのですが、民間業者による指定管理での図書館運営が、今全国で非常に問題になっておりまして。(例のTSUTAYA図書館もそうです。あそこはCCCって会社)指定管理者制度を採用した図書館の多くは本の納入業者が運営を行なっています。本を選ぶ人が業者さんになってしまうと、より儲けの多い本ばかり納入する傾向が強く、実用書、ビジネス書やベストセラーの本ばかりが多く並んでしまう事になる事態が起きています。新刊書店では手に入らない希少な本や絶版になった価値ある本たち。決して多くはないが街の誰かに必要とされる一冊よりも「よく売れてる本」が新刊書店のレジ前の本棚のように並ぶという感じ。更に酷い例としては、儲かる本ばかりか、もはや使えない古い観光ガイドブックや情報が既に更新されている古くなった専門書など、謎の(手抜き、ですよね)選書を行なっている事例まで出て来る始末。指定管理者の業者は指定管理料に加えて図書の購入で大きな利益をあげるそうで、そこで働く専門職はほとんどが低賃金の非正規雇用であるという事も問題視をされています。公務員ではない為、仕事で得た知見が市の文化行政や教育行政に反映される事はないとも指摘されています。
せっかく図書館が市の直営になって安心したのも束の間、民間業者(指定管理者)との合議で施設の運営を進めていくって、それって半分民間業者の図書館にならないですか? という懸念。更に無視出来ないと考えているのが「公営の図書館と民間業者の指定管理者が同じ事務所」って話しで(!) いやいや、だって、市民の個人情報を扱う事務所のスペースを民間業者と共有するってどういう了見ですか!? というわけで、市民の側から度重なる要請を行い、署名活動まで行なってきましたが。あれだね。別府市の行政って、決まるまでは何も明かさず(指定管理者選定過程から施設の図面等色々)決まってから事後承認みたいな? もう今の別府市の対応には不信感を抱かざるを得ないですね。署名まで行ってきた「分館を求める声」も、先日別府市議会で共産党の美馬きょうこ議員が質問してくれましたが、今のサザンクロスには助成金の関係で残せない。それ以外はほぼ無回答(というか「分館は作らないと言われていた」と議員から)美馬さんの質疑で市の担当者からようやく「今後、図書館機能をなんらかの形で残せるように具体化をしていく」との発言を引き出した事は、まあ良かったけど。「分館」とは最後まで言わなかった別府市。(市議さんでは、自民党のあべ一郎議員も熱心に話しを聞いてくれたそうです)
しかし、ギリギリ図書館自体は市の直営という事になったわけで、あとは、偉い先生に言われるまでもなく、多くの市民が利用して、多くの声、要望を届けていく事で地元の図書館を磨いていく。ってそんなこたあ言われなくてもみんな考えてるんですよ、って言いたくはなりましたよ(^◇^;)
一方で、前々からお会いしたかった松田法子さんの講演が聴けた事は純粋に嬉しかったですし、まさかの岸ママエピソードには客席で大笑いしてしまいました。そしてこれは(松田さんの説明の中で触れられた)嬉しい話しとしては、これまた正面玄関から遠く離れていて気になっていた郷土資料館が、外の開けた空間からも出入りが出来るという事がわかったのは良かったですね。郷土資料が不遇に扱われていたわけではなかった(と思いたい)行くのが今から楽しみになりました。(ただ、もう少し広く場所とって欲しいとは思ったけれども)市民による歴史語りや思わぬ歴史資料についての話しも松田さんと中井さんから触れられていて実に興味深いものがありました。
そんな、モヤモヤ半分(以上? )図書館の楽しさ半分の、ちょっと複雑なシンポジウムでした。
今度は出来たら同じ時間、松田法子先生による別府の戦後史に触れる講演会をじっくり聴きたくなりました。(次は純粋にお話しを楽しんで聴きたいというか……)
(今回のblog記事の参考資料は「図書館フレンズべっぷ通信」より。別府市立図書館など公共の施設に置かせてもらっているので、是非手に取ってみてくださいね♪)