にいさんの しらしんけん☆

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【沈黙のファイル-「瀬島龍三」とは何だったのか】圧倒的な取材量 是非お勧めの一冊です☆


https://haruniy.ti-da.net/e11256356.html


「なぜあのB29が原爆搭載機と分からなかったのか。今も悔やまれてならんのです」

と、取材当時(奈良県)西吉野村村長の堀栄三さんが証言します。

堀さんはあの原爆投下の時に陸軍参謀本部の情報参謀でした。緻密な情報分析で米軍の攻撃地点を正確に予測し「マッカーサーの参謀」とまで呼ばれた優秀な分析官だったそうです。

原爆投下の三ヶ月前にテニアンに奇妙なB29が現れた事を原さんら情報参謀は掴んでいました。そのB29の暗号電文までも傍受。全ての解読には至らぬまでも一定のコールサインの符号にも着目。この正体不明の奇妙な爆撃機は日本近海への飛行訓練を繰り返していたことも掴んでいた。堀さんら情報参謀はその正体不明機の「訓練の意味」を探る為、情報分析に躍起になっていきます。

「もし私たちが『米軍が原爆開発中』の情報のかけらでも知っていたら、あの部隊の正体を突き止め、被害を最小限に食い止められたはず。実際、一年前ドイツからその電報が参謀本部に入ってたんです」

しかし「参謀本部の作戦課がその情報を軍事機密に指定し、情報を独占してたんです。作戦課は『独立王国』で絶対的権限を持っていたから、情報課なんか相手にしなかった」つまり、軍全体にとって重要な情報さえも(多くの犠牲が出ることが予め予見出来たとしても)自分たちのたてる計画に関する情報は自分たち「選ばれしエリート」に独占させながら、そうやって情報が管理されながらあの戦争は進められ、泥沼へと突き進んでいったのです。


その作戦課の中枢にいた人物こそ瀬島龍三氏。


戦時中、大本営の参謀として陸軍を動かした男は、戦後は東京裁判にも出廷し(シベリア抑留を経た後に帰国して)商社マンとして華々しい活躍をし、そこから30年足らずでなんと政財界の中枢部へ影響力を行使する「政界の影のキーマン」と言われる存在に君臨するまでに駆け上がっていったのです。

又、瀬島氏以外にも、あの戦争の泥沼化を招いた中心人物たちが公職追放を解かれた上、国会議員や自衛隊や官僚や大手商社へと解き放たれて、戦後の日本社会の中枢に入り込んでいた。

今の日韓関係に象徴されているように、日本の政府は隣近所のアジアの国々よりも明らかにアメリカさんとの関係ばかりが重視されているように見えますが、その背景のひとつにはアジアの国々からの信頼を日本が依然として得られていないという事があります。

戦後賠償は終わったはずだ

と、私も先日ある先輩から飲みの席で訴えられた事がありました。(私は韓国代表みたいな顔でもしていたのでしょうか^^;ただ、日本人は戦争への反省が足りないのでは?とは言うたけどね)太平洋戦争で日本が完全敗北した後、東京裁判を経て、日本が被害を与えた国に対しての賠償問題へと進んでいきますが、GHQはこの賠償の「現物支給」を指示します。


【賠償】というと、戦争で肉親を奪われた人たち、住む場所を奪われた人たちへ(本来、心からの反省とともに)賠償金を支払って誠意を示し謝罪を行う-ということをイメージしていましたが、実際にそこで行われた「現物支給による戦後賠償」とは、

例えば被害に遭った国が日本政府に対し「現金」ではなく、警察車両のジープが欲しいから○千台ちょうだい-とか、電力不足で発電所を作ってくれとかとか、それをどのくらいの賠償額分で行なうか(賠償金の支払いにあたる)の相手国との合意を基に、その賠償額分の現物を日本の国内企業に発注し、その企業が(あらかじめ自国の政府が購入した莫大な分量の)現物を相手国へと支給するという形。

え?被害者救済じゃないんや( ゚д゚)!

まるで違う。それどころか、そこで求められるのはその国の政府が今欲しいもの(それを全て否定はしません。その国の社会インフラを整備する事その事自体は・・)に限られます。そしてその際には必ず!?その国の窓口となる官僚や実力者の懐にも莫大な賄賂が入っていく(最近もどこかで聞いたような?)思わぬところで支給の段取りがストップしたかと思うと、その中継点の実力者が「わたしに○○円よこせ」と恫喝まがいの要求を受けるというのはありふれた話しのようで・・

そして、その莫大な現物の賠償額は自国の大企業に支払われることになる。

戦後の日本の経済成長の大きな要因のひとつが、この巨大な賠償ビジネスだったと言われています。

その賠償ビジネスで活躍した商社のひとつが伊藤忠商事であり。その伊藤忠商事において賠償ビジネスで大きな働きをしたのが元大日本帝国陸軍の参謀中枢にいた人物だったのです。

シベリアから帰国した彼は、この商社で一社員からなんと会長まで上り詰めます。


瀬島龍三氏を主人公に据えながら、圧倒的な情報量で日本の戦中戦後の歴史の影の部分に迫っていったのが、この共同通信社社会部の記者たちの圧巻のノンフィクション【沈黙のファイル-「瀬島龍三」とは何だったのか】です。

20年前に買って読んだこの本を(当時もそれなりに読み応えは感じたのですが、情報量の多さに圧倒されて、充分に読み込めただろうか-という思いもあり、また再度読みたくなったのです)実家の本棚から出して読み返してみました。

まだ、ひとつのblog記事では扱えない程語りたいエピソードも盛りだくさんなので、また、何回かに分けて(時間が許せば)記事にさせてもらいたいと思います。

これを書かれた共同通信社社会部チームの皆さん良い仕事をされていますね。是非お勧めしたい一冊。そして多くの人に知ってもらいたい歴史の闇について触れられてある貴重な資料ともいえるかもしれません。




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Posted by にいさん at 2019年10月24日   21:52