
【第35回 沖縄式読書会】開催しました☆


5月4日(日曜日)別府市やよい天狗銀天街のyoiyaさんにて、35回目の「沖縄式読書会」を開催いたしました。今回は初参加の学生さんも含め6人の参加で賑やかな読書会に。そんな今回、前半の紹介本はこちらのタイトルでした。
桐野夏生『メタボラ』(タイトルは新陳代謝を意味するメダボリズムから着想した造語。舞台は沖縄。那覇市内のお馴染みの景色の中で展開する「記憶を失くした青年」と「島を捨てた青年」による、行くあてのない逃避行。つい、那覇好きとしては街の景色の話題でも盛り上がってしまいました。搾取され、漂流するしかなかった彼らの冒険。その先にあるのは希望か、それとも……)
安光伸江『必ず目標達成する人が実践する続ける技術』(まさにタイトル通りの実践の書。たんたんと続けることが良い結果に繋がる秘訣? あの時もっとこれを続けていたら……なんてことにならない為の「継続した努力を積み重ねる大切さ」について。写真には写っていませんが、選者様からはシェイクスピア『リア王』、川端康成『眠れる美女』も現在読んでいるとの御紹介も)
井戸川射子『移動そのもの』(初参加の学生さん。写真にはありませんが、最近読んだ本を2冊御紹介いただきました。その1冊目は不思議な不思議な短編集。話しも不思議だが、文体もまた独特な……最後の行に到達するまで「。」が無い、そんな奇妙な長いひと繋がりの文章。でも心地好くて? まるで目の前で誰かが話しかけてくるような)
上間陽子『裸足で逃げる』(そして2冊目は、この読書会でもお馴染みの上間陽子さんの著作。選者様はこの本を読む前に、上間さんの『海をあげる』を読んで感銘を受けたそうです。すこし「覚悟の気持ち」を持って(わかる気が)本書を手に取ったそうです。とても過酷な女性たちの現実。でも何故だか惹かれる文章。一緒に本の中で、彼女達とリアルに会話をしているような感覚に)
荒木経惟『東京は、秋』(御存知アラーキーの写真集を2冊御紹介いただいたその1冊目。著者の写真には様々な側面が語られますが、こちらはとにかく東京の秋の景色が美しい。その多くは、今はもう失われていった情景が。東京の片隅の何気ない、特別ではない街の景色たち)
荒木経惟『陽子』(アラーキーの2冊目は、有名な写真集ですね。荒木さんのお連れ合い様の日常での姿を写し撮った写真の数々。私も頁を開いて思わず閉じてしまった程、日常の夫婦だからこその姿に焦ってしまったり。そして、最後の最後まで陽子さんへの愛情が写し撮られていて、又それが、切なくもあって)
多和田葉子『献灯使』(選者様曰く「なかなか難解である」そして「これは311の後に描かれた震災後文学である」とのこと。大きな災厄の後。仮設住宅。放射線。原発。洪水。人がいなくなった世界。バベルの塔。5つの不穏な物語が暗示する世界とはいかに)
『かたりあう沖縄近現代史』(前田勇樹、古波蔵契 編。沖縄の出版社ボーダーインクの今沖縄で話題の1冊です。沖縄の戦後を生きた先輩世代から90年代生まれの若い世代の研究者が世代を超えて語り継ぐ7つの対談がなんと刺激的なことか。思想史的水脈とは良くぞ言ったもので。こんな沖縄における記憶の継承の意識の高さについて、改めて感じずにはおれません。素晴らしい価値ある書)
そして今回のプレゼント本はこちら。
ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』(選者様によると、学生の頃に読んでとても良かった記憶があったが、今改めて読み直すと、それがとても恐かったとのこと。17世紀の、これは、ゴシックホラーか。まずタイトルの言葉の意味からして恐ろしく、多義的であり。「余計にことを」「更に追込みをかけ」。古い屋敷とそこに住む幼い兄弟。そこへ雇われた家庭教師。その屋敷では……いや、ここから先は )
瀬尾まいこ『卵の緒』(異母姉弟がふたりで暮らすことに。そこはギクシャクするのも無理からぬもので。姉と弟は次第に緊張がほぐれ、心通わせていく。そして、へその緒ならぬ「卵の緒」にまつわる表題作。初参加の学生さんがプレゼント本に選んで下さったのは、とても明るく、優しい気持ちに溢れた短編集でした。新しい風を吹かせていただきありがとうございました。これからも是非御参加お待ちしていますね)
江戸川乱歩『孤島の鬼』(そんな瀬尾さんから打って変わって江戸川乱歩登場! 一気に猟奇的な風へのギャップが素晴らしい展開に? ある島で起きた怪しい事件。筒井康隆氏も絶賛し、乱歩自身も気に入っていた本作。かなり(最近の小説にはない)ドロドロとした作風とのことです)
三浦知良『やめないよ』(キングカズが2006年頃から日本経済新聞に連載していたコラムの書籍化。この時点で40代という彼が、およそ20年経つ今もなお現役って凄過ぎますよね。まさに本のタイトル通りの姿勢を貫いている三浦知良さん。そして、この日最も若い参加者様が、カズを知らない世代だということにも、時の流れを感じてしまいました)
津村記久子『ポトスライムの舟』(2009年に芥川賞を受賞した本作が図書館のリサイクル図書に!? 探してみるものですね〜。リサイクル図書に、こんなビッグタイトルが紛れているなんて。作者は常に労働の現場に眼差しを注ぎ続けているそうです。主人公ナガセは29歳の契約社員。年収は163万円。世界一周の船旅の費用も163万円。ナガセは世界一周の船旅を目指して貯金を開始することになり……)
南島地名研究センター編『南島の地名を歩く』(沖縄の地名は面白い! 以前この読書会で紹介させていただいた本書を今回プレゼント本に選ばせていただきました。南風原、東風平、大宜味、保栄茂! もうとにかく、地名好き(いるのか? )には堪らない、とにかく変わった地名の話しで盛り上がってしまいました。地名を通して知る沖縄。本当に面白いです。北はニシ )
Posted by
にいさん
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2025年05月05日
18:35