にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
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柳美里 著【JR上野駅公園口】





https://haruniy.ti-da.net/e11871406.html

↑読書会報告の第3号が出来ました。(別府市立図書館、ふるさと交流館にも置かせていただいております。)




やんごとなき家系の人たちが公園近くの博物館や美術館に出かける時、その『山狩り』は行われるという。

しかし『山狩り』とは・・

なんと恐ろしい言葉だろうか。

同じ年に生まれて、同じく人間として生を受けながら、このロープ一本が隔てた向こう側とこちら側の「人生」はまるで違うという。

違うだけならまだしも、何故『清掃』されなければならないのか!

それなのに、

何故「彼」は手を振ってしまうのか?

(私は、沿道で思わず手を振ってしまった彼の振る舞いに心底ゾッとしてしまった。長い年月沁み込んだものとは 簡単には消し去れないものなのだろうか?)


彼は透明な人間ではない。


この悲しみの中に感じる「温もり」や「愛おしさ」が余計に悲しく胸に響くのだけれど・・

フェンスの網に貼られたビニールには綺麗なイラストが描かれていた。その「ビニールで隠された人たちの世界」とは?と考えないわけにはいかなかった。

『真実を綺麗な安いビニールで覆い隠す世界』とは、

それは、やんごとなき人たちに支障なく道をご通行いただくような世界。この小説は(私を含んだ)この社会の姿を限りなく誠実に写しとっているように感じます。(しかしなんなのだろう、この読み手が感じる自己嫌悪は・・)

「オリンピック」と「復興」という言葉の裏側の日本。

そしてあの日のこと。

まだ、小説の余韻が抜けません。






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Posted by にいさん at 2021年03月20日   09:09