にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
てぃーだブログ › にいさんの しらしんけん☆ › 映画『見えざる手のある風景』をAmazonプライム・ビデオで視聴。

映画『見えざる手のある風景』をAmazonプライム・ビデオで視聴。

映画『見えざる手のある風景』をAmazonプライム・ビデオで視聴。



 先日のcinemactif東京支部のPodcastを聴いて気になっていたAmazonプライム・ビデオで配信中の作品『見えざる手のある風景』を観ました。

 以下、ネタバレは抑え目に書いてまいりますが、ヒント等「こする」かもしれませんので、真っさらな状態からご覧になりたい方は読まないことをお勧めいたします。


 これは、かなり切実な、そして、まあまあ笑えないSFコメディとして映りました。(あのオープニングでの短い設定描写の中での映画的な表現は実に見事だと思いました。なかなかに、エグ味のある内容と、そんな心地好い描写との不思議なバランスの作品)


 まず最初の、見事なオープニング における、「真下には人が住んでるんだぞ!」のくだり。

 人間の法(や常識)よりも上位に「彼ら」の地位協定…じゃなくて、「彼らの法」が位置付けられるという設定。

 歴史というものが常に征服者によって「綺麗な言葉によって上書きされていく」その過程。

 搾取する側は、加害の自覚がない(薄い、わからない?とにかく自覚が欠落している)らしいという姿。

 搾取された者の間で格差が極度に進行し、搾取された者同士の間で分断が生まれ、無駄に敵対し合うという悲劇。

 絶対的に優位かつ支配的立場にあるものが、絶対的不利な個人を訴えるという、スラップ訴訟的な!?行為。

 自分の作品が「彼らの有力者」によって認められ、これから全宇宙にも御披露目されて大逆転の成功者に?って思ったら、蓋を開けてみたら作品の意図は捻じ曲げられ、「彼らの望ましい姿」に描き変えられてしまい、まったく違った作品に上書きされたものに描き変えられてしまって。あとは発表を待つばかり。言葉を失う作者。著作権及び著作者人格権なんてものは「彼ら」には通用しないらしい(ようだ)。彼が言葉を失うのも(莫大な富を手放してまで)その後の行動に至ることも無理からぬことと思えてきて。

 まさにエイプリルフールに紹介するに相応しい位の?はちゃめちゃな設定のはずのコメディなのだけれど、ここまであげた事柄全てにおいて強い既視感があり過ぎて(そう感じ取ってしまう私がいけないのかもしれませんが)なかなか背筋に怖気が走る映画です。これなんか、全部、SFに置き換えられてはいるが、リアリティあり過ぎてまじ恐いっす。

 そして、「支配する側への視線」というものも。考えさせられたなー(属性の異なる他者への視線も)。

 ウルトラセブンの第一話で、もしセブンが現れなかったら、多分こんな感じだったんじゃないか?と円谷ファンならば、つい思ってしまうかもしれない今作。

 『人類など、我々から見れば昆虫みたいなものだ』

 あの名台詞が、頭の中でリフレインしてきて仕方ありませんでした。


Posted by にいさん at 2024年04月01日   18:03