にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
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映画「東京オリンピック2017都営霞ヶ丘アパート」(五輪が奪う「終の住処」)





http://www.beppu-bluebird.info/schedule.html


 (別府ブルーバード劇場で映画「東京オリンピック2017都営霞ヶ丘アパート」を観ました。ドキュメンタリーなので基本的にネタバレは気にせずに書きます。まっさらな状態でご覧になりたい人は読まないことをお勧めします)





 その場所には、人間が生活している。

 カメラに映されていたのは、豊かなコミュニティ。淡々と進む日常。(ただひとつ残された?)売店のくだものが、やけに美味しそうに見えてくる。

 そのアパートに住まわれているのは、自分の親世代の高齢者の人たち(ばかり?少なくともカメラに映されるのは圧倒的に高齢の先輩世代の住民の人たち)互いに助け合って暮らしている様子が伝わってきます。


 イシハラ都知事がね〜(国立競技場のそばのここの住宅を)「みっともない」って言ったんだよ。2度も。2度も「みっともない」って。

 (石原都知事は、さぞやみっともなくない(いつかテレビに映ってたけど)豪華な邸宅に住んでいるから言えてしまうのかな。そこに生きる人たちの姿など、見えていないのだろう。)

 私は人生で2度も、オリンピックの為に立ち退きを迫られることになりました。悲しい。悔しい。苦しい。

 この歳で引越しなんて、とてもきついです。どうか皆様の御知恵を拝借出来ないでしょうか。

 (重度の障害で片腕しか使えない住人の方が)高い所に荷物を運ぶことが出来ません。大きな荷物を持って階段から(4階から!)降りるなんて、とても大変なことです。

 (引越しの費用に使う東京都からの補償金(?)では、引越しに必要な額に足りない事が語られて、この片腕で生活の全てをこなすおじいちゃんは〈監督さんのアフタートークからの補足によると〉金額が足りない分は全て自分で荷物を階段から降ろして自分でリアカーに載せて(!)大変な量の荷物を積んだリアカーを押して引越し先へと歩いていく場面。東京都知事にもしかと見てもらいたかったですね。大会組織委員長にも総理大臣にも(コロナ禍に銀座で楽しまれたという)IOC会長にも。

 そして、大会のスポンサーとして仲良く名を連ねた大手メディアの人たちにも、この映画を観て欲しい。

 この映画完成時、このアパートから退居させられた人のうち23人が亡くなったとのテロップに、なんとも言えぬ気持ちに……

 青山監督のアフタートークでの話しによると、引越し直後に亡くなられた方もいらっしゃるとの話し。もちろん、全てを引越しとの因果関係を断定して結びつける事は出来ないし、高齢の住人の皆さんであり、引越しがなくても天寿を全うされた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、カメラに映っていないインタビューにおいても、相当な心労を強いられた方の話し、都の担当者からの「立ち退いてください」という連日の電話にノイローゼになった方のエピソード。そもそも長年親しんできたコミュニティにおける人間関係が断たれ(多くがそれを望まない中で)一方的なA4用紙による通達で、バラバラの土地に引越しを強制されるという理不尽。体にハンデのある方もいらっしゃるというのに。

 1964年の東京オリンピックにより、古い住宅が壊されて出来たという霞ヶ丘アパートが、今度は2020年の(コロナ禍の延期により2021年になった)東京オリンピックの為に取り壊されるという話し。

 当初は「コンパクト五輪」などと言われた大会は、悪い冗談のように予算は膨れ上がり、1兆円を超えてしまったという話し。その「ヘイワノサイテン」とやらの為に立ち退きを余儀なくされた人たちへの補償金はひとり17万1千円!?(これだけ大変な思いを強いられながら引越し代にもならないたったこれだけの額?どれだけケチなのですか )


 空を飛ぶブルーインパルス。


 メディアも加担し、祭典の演出は「煽り」の度を増していく。


 これは、行政の暴力、でなかったら、一体なんなのですか?

 行政って、何かね〜。ささやかな日常を奪われてまで強行される祭典って、なんなのでしょうね〜。

 この国って、

 ちょっとヤバすぎやないん?
 
 今、強い気持ちで、この「苦しい」を、多くの人と共有したいです。別府市の別府ブルーバード劇場で、7月21日まで上映中です。是非ご覧になってください。

 





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Posted by にいさん at 2022年07月16日   22:57