にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
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「普天間よ」



大城立裕さんの小説「普天間よ」を読み終えました。

しばらく 余韻が抜けそうにありません。


沖縄戦さなかの時代から今日のドラマまで、書き下ろし作品「普天間よ」を含む7篇の短編集です。

多くは、著者の大城さんの親戚や友人や、あるいは自身の実体験をモデルにした小説たちとの事です。


逃げ惑う最中に飛んできた迫撃砲の破片で命を落とす人。

戦争下で自分の財産が (お金というものが) 意味をなさなくなってしまった資産家。

手榴弾で自決寸前に命を救った出来事。

思わぬ形で家族の遺骨の在処がわかり、数十年振りに帰れなかった故郷へと帰る主人公の心境。


部落ごと強制移住させられた後に立つ普天間基地。そしてその基地に対する祖母の思いと父の葛藤。

轟音が轟く真下で踊りを舞う主人公。




爆音がテープレコーダーの歌三線を消した。真上にヘリコプターがいる。ヘリコプターが異常な近さで接近している。いずれ数秒で通り過ぎるだろう。

しかし、数秒どころではなかった。何十秒。いや何分間。こんなことは初めてだ。まさかコンクールではこんなことはあるまいと、ひたすら踊りつづける。恋の歌を。



ここで踊る主人公の姿は 作者自身の心かもしれないし、そこに暮らす誰かの心かもしれない 。

長い年月耐えて 忍んで、自らの心が もはやこの痛みに対して麻痺してしまったのではないかと自問自答する心を、僕はまだ理解出来ているとは思えない。

怒りとはまた別に、この 手の届きそうな近くにあるのに 簡単には触れられない 沖縄人の心に もどかしさ.苛立ちを感じてしまう。(この感覚に似た感覚を、最近別の出来事でも感じた気がする。)


わかったつもりになってはいけない。しかし目をそらすのはもっといけない。

このもどかしい距離感を忘れずにおこうと思いました。




大城立裕さんの小説「普天間よ」県内書店のみならず、全国の書店でも目立つ棚に置かれています(^-^)どうか、より多くの人達に手に取って欲しいと思いました。






本日の一筆。




朝三暮四




猿にとちの実を、朝三つ、晩に四つやろうとしたら、猿が 朝四つ欲しいとごねたので、では朝四つ晩三つにしようと言ったら、それで猿が承服して落着したというお話し。


作中、普天間から辺野古へという基地の移籍計画への比喩として使われていました。


しかしそれは、沖縄県民の方から求めてしまった場合..という前提で成り立つ話しである と続きます。(だから今は、その喩えは成立していない。という..)


Posted by にいさん at 2011年08月26日   22:56
この記事へのコメント
似たような故事熟語で「朝令暮改」てのがありますが、為政者側の普天間問題対応がまさにこれですね。
あ、なんかうまいこと言ったか俺(笑)。
Posted by スモーキー☆ほたて at 2011年08月28日 15:58
ヘリコプターうるさーい!(*`Д´*) ←このくらいわじってます。

ヘリ乗るな
Posted by 旧具志川市の俺 at 2011年08月28日 21:23
スモーキー☆ほたてさん

ズバリうまい事を言いました(^-^)(笑)

朝礼暮改。

この漢字は、どこぞの政党のマニフェスト と読めます。




俺さん

僕も以前、基地の近くの学校で芝居をやっていて、爆音で台詞を消された経験があります(汗)

あれを毎日..って思うとゾッとします..
Posted by にいさん at 2011年08月28日 22:07