にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
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【抵抗する文学】とは?


https://haruniy.ti-da.net/e11439035.html

↑「抵抗・カウンターとしての物語」という捉え方について。(映画【ニッポニア・ニッポン】上映会にて。)


雑誌『世界』2月号より斎藤美奈子さんの記事【抵抗するフィクションを探して】を読みました。

かつて『日本文学は「社会問題」をちゃんと描いてこなかったじゃないか!』との批判が語られた時期があったそうです。特に純文学と呼ばれる分野には『チマチマした私語りに淫している間に』(凄い言われ様だな(笑))松本清張ら社会派推理小説の優れたものが台頭し、それらはプロレタリア文学の限界すら乗り越えて社会の暗部を描く事に成功しているではないか?と。

しかし最近では(そうしたエンタメ小説の粗削りな力強さの系譜を受け継ぐように?)文学界においては『政治に対抗しうるフィクション』が次々と注目を集めているようです。特に日本本土を挟みこむ立地ともいえるふたつの場所から。

それは「沖縄文学」と「アイヌ文学」とここでは呼ばれています。

この記事を取り上げさせてもらったのには、その中に自分が読んだ(そして大好きな!)小説がいくつも紹介されていたから。

真藤順丈【宝島】(↓感想)

https://haruniy.ti-da.net/e11108813.html

上原正三【キジムナーkids】(↓感想)

https://haruniy.ti-da.net/e10590193.html

原田マハ【太陽の棘】(↓感想)

https://haruniy.ti-da.net/e9905843.html

大城立裕【琉球処分】(blog出来る前に読んだからか?記事に残してなかった・・(汗)かわりに大城さんが現代の沖縄を舞台に描いた小説【普天間よ】の感想です↓)

https://haruniy.ti-da.net/e3158382.html




斎藤さんが書いている通り『どれほど悲惨な現実を描いていても、沖縄エンタメ小説はどこか明るい』のです。(他にも【テンペスト】など最近の代表的な沖縄文学をいくつも紹介してあります。詳しくは『世界』2月号をご一読くださいねm(_ _)m)

そして、とにかく力強い。

琉球処分、沖縄戦、米軍統治時代、本土復帰(というアメリカ〜からヤマトへの施政権の移譲)後の米軍基地。そうした現実と常に向き合い続け、尚且つそれを沖縄の精神的風土やウチナーグチを多用することによって成り立ってきた沖縄文学。

嬉しいのは更に『辺野古の新基地建設反対運動がなぜあれほど粘り強く続くのか。その秘密が垣間見える気さえする』とも斎藤さんは言及してくれています。(!)

これから沖縄という地域の事を知りたい。歴史について知りたいという人たちには、どんなガイドブックよりも、上にあげた小説から読んでみることをお勧めしたいです。そこには、綺麗な外側のイメージや極端な悪意や偏見に満ちたオキナワではない-血の通った生身の沖縄の姿の一端に触れることが出来ることでしょう。(今すぐ沖縄に旅行出来ないけど沖縄気になる(≧∀≦)というあなたにも是非!)


そしてもうひとつが「アイヌ文学」。

先日の直木賞を受賞した川越宗一さんの小説【熱源】もアイヌ民族の主人公が登場するストーリー。こちらはまだ勉強が足りず申し訳ありません(汗)が、【熱源】は近々必ず読みたいと思います!

こちらも沖縄同様、「本土」とは異なる固有の歴史を歩んできた北海道を舞台に、(これまた沖縄同様・・)日本本土への「同化政策」に強く影響を受けたアイヌの人たちの歴史。以前、北海道で(アイヌ民族としては初の国会議員としても知られる)萱野茂さんの記念館を訪れた際に初めて目にしたアイヌの人たちの芸術と歴史に心を打たれた事がありましたが・・こうした先輩たちの努力も届いていないのがこの国の現状か?ついこの間も、麻生さんによる『2000年にわたり、一つの国で、一つの民族、一つの王朝が続く国は日本だけ』などという信じ難い発言が行われたばかり。

アイヌも琉球(沖縄)も、「2000年にわたりヤマトと一緒の民族だった」なんて事実はない!

もっと深く掘れば、東北の蝦夷の人たちだって中央の大和朝廷とは闘い続け、恐れられ差別され続けた歴史があったり(このあたりの話しは高橋 克彦さんの小説【火怨 北の耀星アテルイ】をご参照あれ(=゚ω゚)ノ)
更に遡れば今日本列島にいる大部分のご先祖は大陸から渡ってきた人たちだったりするわけで。厳密にはかなり多様な人たちが集まってきて(もしくは強制的に引き込まれて)今の日本という国を形作ってきているのだから。むしろ、そんな「多様さ」を認め合える社会にもっとこの国はなっていった方が良いと強く感じています。(あ、この辺は『』以外のところは全て私自身の見解でございますm(_ _)m)

だいたい2000年前って弥生時代じゃねぇかよ((((;゚Д゚)))))))(笑)その時代に今のような日本という国家が出来上がっていたのですか??

そもそも神話を元にした「国の始まり」なんて、なんて非科学的な歴史観なのでしょうか。

この列島に大和政権というものが統一されていったのは5世紀くらいにかけてと言われていますが、アイヌも琉球もそこに入ってたって?はぁ??ですよね・・(にしても2000年よりもかなり手前だけどね(⌒-⌒; )ちなみに薩摩による琉球侵攻(侵略)が1609年。琉球処分は1879年ですよ麻生さん。そんくらい覚えといて下さいよ。(以上麻生さんに対する見解も全て私の個人的な見解でございますm(_ _)m)




斎藤さんによると、日本の最近のフィクションは『単純な勧善懲悪を忌避する傾向が強い。抵抗する文学はだから少ない』と言われます。しかし歴史的に国家権力に蹂躙された記憶が染み込んでいる北海道と沖縄を舞台にした小説には、そうした【抵抗する文学】としての姿が残っており、それは時には現代の読者を勇気づけると、『ときにふて寝する読者を叱咤する』と。(ただし#WithYou文学には危険も伴う可能性もないわけではないと。又、歴史修正主義とフィクションの衰退との因果関係への可能性についても・・この辺は興味深いね( ゚д゚)そこテーマに今度掘り下げた記事も読んでみたいです。)

記事の後半では更に「在日文学」にも光を当て、まさに今のこの国に生きるマイノリティーの声・声なき声を物語として立ち上げる作家たちの姿が浮かび上がってくる内容でした。


こんな私もまた【抵抗する文学】に力をもらったひとりです。




それから、私はこの人の小説もまた堂々たる【抵抗する文学】だと思います。

↓ 太田愛【天上の葦】↓

https://haruniy.ti-da.net/e11380685.html






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Posted by にいさん at 2020年02月12日   09:35