にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
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第23回沖縄式読書会を開催しました。






 これが23回目となる別府市での「沖縄式読書会」は、今年最初のyoiyaさんで。(いつもありがとうございます!)

 今回は、初参加のおふたり(以前よりお声掛けさせてもらっていました地元の尊厳する先輩方)と、3人での読書会でした。いつにも増して、地元大分と沖縄についての、土地にまつわる濃い話題が広がりまして、本当にあっという間の2時間でした。

 前半の紹介本のコーナー(最近読んだ本など)。

 寺司勝次郎『わが蟻の目人生』(遠廻り宜候。大分県で活躍された高名な瓦版画家でらっしゃるのですね。この屋根瓦の風景から見えてくるのは、当時の大分の街並みでしょうか。若き日の予科練における戦争体験は、松下竜一さんのノンフィクション『私兵特攻』にて描かれているそうです。実に興味深い郷土の芸術家さんでした)

 伊藤雄馬『ムラブリ』(ムラブリとは、タイとラオスの間の地域の森に暮らす少数民族の人々。文字も暦も持たず、森の中で狩猟採集社会を形成しながら暮らしているそうです。家は手作りの持ち運び式で?著者は彼らとの出会いを通して自らの生き方について「気付き」を得たそうです。身に付けるものは最小限の生き方。モノもお金も。「持たないという生き方」が問いかけてくるものとは )

 山野井泰史 全記録『CHRONICLE』(世界の断崖絶壁に挑み続けるクライマーの記録。参加者様が、以前Coyoteという雑誌のプレゼントに応募したところ、当選して送られてきたのがこの一冊だそうです。なんと素晴らしい読者プレゼントでしょうか。50代にして、パートナーの妙子さんと共に今も世界の難関の山々に挑む姿は迫力があります)

 雑誌『Coyote』(『CHRONICLE』を手にするきっかけになったというこの雑誌。月刊でも季刊でもなく?年に3回の発売なのですね。そして創刊20周年!?この時代にこれだけ持続できるなんて凄いことですね。人と旅をテーマに、中味の濃い内容を送り続け、熱心な読者が支えているとの事。最新号では(村上春樹読者にもお馴染み)安西水丸さんの特集。これは読みたい!)

 平野(野元)美佐『沖縄の もあい大研究』(模合・もあい-とは、沖縄における相互扶助、助け合いの風習であり、親睦の場であり、「金融」でもあり、時に恐ろしきものでもあり、でも、多くの人たちに今もなお親しまれている「模合」って何?という模合の秘密が詰まった圧巻の一冊。模合の魅力の中に沖縄の景色が見えてもくるという、そんな一冊です)

 松岡考志郎『「那覇へ、別府から。」』(別府市から、沖縄へ通うこと20年。著者の優しさが写真と文章から滲み出る一冊。その不思議な路地は、まるで那覇と別府の風景が重なってくるような不思議な感覚に。青い海と空でイメージされるような、そんなステレオタイプのリゾートとはまるで違う島の魅力が写真を通して迫ってきます。故郷別府市の懐かしさを覚える景色と共に)

 
 そして今回のプレゼント本はこちら。

 松岡考志郎『道端』(なんと、紹介本であげられた『「那覇へ、別府から。」』の著者による、第一弾の御著書。「那覇へ……」は「道端 南島行」という副題が付いている通り、この『道端』の続き、という位置付けとの事で。音楽活動も続けてこられた著者が、CDを出すか、それとも詩や思いを文章として表現するかとなった際に、著者が選んだのは後者でした。著者・松岡さんの歩いた道には、そこではどんな景色が見えたのでしょうか )

 ↑ANDO GALLERYの上等な手帳も一緒にプレゼントに添えてくださいました。めっちゃ欲しくなる手帳(笑)

 NHKブラタモリ制作班『ブラタモリ別府・神戸・奄美編』(おおー、ブラタモリ遂に来ましたね!別府市の前後編は放送当時私も(その頃に住んでいた)那覇市の自宅で見ました。個人的には、楠町の境川の暗渠が登場したくだりは、番組史上最高に興奮いたしました(マニアック過ぎて、多分私だけかもしれません)選んでくれた参加者様はなんとその放送の際にお手伝いもされたとの事。別府の歴史に詳しいメンバーさんならではの選書でした)

 上村洋『劇団員 南へ』(恥ずかしながら、読書会主催者による一冊を。おそらく最初で最後の選書かもしれません。沖縄に精通した参加者様がおられた事から、きっとこの本ならば絶対に持ってはいないはず-と今回は勇気を持って?選ばせていただきました。沖縄で暮らした約10年と少しの時間。その間に体験した事、思った事を、自分なりに文章として記録しておきたかった一冊でした)

 初参加のおふたり。それぞれ、別府市と沖縄について詳しいおふたりと、実に濃密な対話が刺激的でした。これからもどうかよろしくお願いいたします!

   


Posted by にいさん at 2024年03月24日 22:21

舞台『OH!マィママ』(別府市民劇場第121回例会)




 別府市民劇場にて劇団NLT『OH!マィママ』を鑑賞。この舞台の感想に入る前に、2点断り書きがございます。

 ひとつ目として、これはいつもの様に、真っさらな状態で、前情報なくご覧になりたい方は読まない事をお勧めします。

 そして、ふたつ目の事として。

 パンフレットの冒頭の辺りでも注意書きがあるように、解説文への「ネタバレが含まれます」という説明がありますが、私は、この「件」について、いわゆるネタバレの「ネタ」として扱うこと、および、衝撃的なギミックとして扱うことには反対の立場です。なので劇中における「秘密」については伏せずに書かせていただきます。(その当事者にとっては、自らの境遇を好奇の視線で扱われる事、センセーショナルに描かれる事によって尊厳を傷つけられる場合が少なからずあるからです)その事以外については、いつものようにネタバレ抑え目に書いてまいります。





 とは言え、

 「秘密」と言っても、劇中かなり早い時間帯で、その「性転換手術」の件は開示される為、物語が動いていくのは、そのかつての母親が男性になって(父親になって?)帰ってきてからのてんやわんやの展開にこそドラマの面白さがあると思いました。

 これが、もしクライマックスの最終盤近くで「実は……」というふうな驚愕の告白を持ってくるような構成であったなら、おそらく良い印象は持てなかったかもしれない、なんて事を思いながら観ていました。この脚本が最初にフランスで書かれたのが1984年の事で、その後、再演をするたびに(その頃はまだLGBTQ+という言葉が一般的になるずっと前だった時代であり)性的マイノリティへの認識をその都度アップデートしながら上演が続いてきたそうです。劇団NLTの皆さんも、その当事者への理解を深める場を持った上で再演に臨んだそうです。(一部、古い観劇資料の引用文の中で「性同一性障害」という用語も使われていますが、2019年のWHOの総会において、これは精神障害ではないという合意がなされております。そもそも障害や病気ではない上、「…障害」という呼び方もまた当事者の尊厳を傷つけるものと考えるので、この用語も不適切だと私は捉えています)


 どうも様子が怪しいアメリカの軍人フランクが、フランスの国会議員アルベールの自宅を訪ねてきたと思ったら……というところから始まるコメディ。アルベールの連れ合いのマリィは20年前に失踪していて。親子同時に結婚をするという息子ルイには、フランクの事をどう紹介すれば良いものか?(主な展開はほぼこの一点に集中すると言ってもよいかもしれません)そしてこれからアルベールが結婚するというマチルドとの関係は?住み込みの家事手伝いのジャサントとのこれまた複雑な関係性。フランクの来訪によって巻き起こる「こんがらがった展開」の面白さの中心に、ルイがいる構図、と言った感じでしょうか。皆がそれぞれの立場から彼のことを考えていて。こんがらがった原因はフランクで、っていう。

 これは、幸せな家族の物語だと思います。たとえ、一部、真実を知らない家族がいたとしても(息子のルイなんですけれども)互いを思い合う関係は本物であれば……でもでも、

 でもやで、

 親子揃ってその行為はどうなのか?(おぃっw)

 というところも一方ではありつつ。結局一番わかり合ってるっぽいのはフランクとジャサントっていう着地???

 まあ、ルイがあそこまでの妄想を信じて受け入れるんやったら、普通に告白した方がいいんと違う?って、途中から、思わないでもなかったけれど、それ言ったら、話しが終わってしまうのか。

 しかし、フランクの、あの佇まいというか、「父であり母でもある」というあの感じは、あの姿は、とても良かったですね。魅力的なフランクを演じておられたと思いました。




 

 ちなみに、元々の設定では、野党の国会議員のアルベールは、社会党のミッテラン政権が誕生した際に下野したばかりの保守政党の議員という設定で。そのあたりの背景も興味深く思いました。もしかしたら、下野すんのは、そういうところなんと違うか?とでも原作者殿は思ったりしたんだろか???(某与党若手の乱痴気騒ぎのニュースを思い浮かべつつ)  


Posted by にいさん at 2024年03月23日 15:20

『オリヒメ 人と人をつなぐ分身ロボット』吉藤オリィ 文:加藤悦子




 劇団員時代の仲間が、子どもの未来舎から本を出版したと思ったら めでたく重版だそうです!(凄)悦子さん重版おめでとう☆(*゚▽゚*)

 で、吉藤オリィさんが開発したオリヒメというのが何かと申しますと、体にハンディキャップを持たれた方が、例えば、寝たきりの姿勢だったり、首から下の部分が動かせないとか、どうしても外に出ることが難しい人たちが、とても遠い場所から、東京のロボットカフェにある自分の分身ロボットを使って、自分の体の代わりにそれを動かして(お客さんと受け答えしながら)働くという……なんというか、もう、これって、我々昭和と言われた時代に生まれた人間にとっては「子どもの頃に思い描いた未来の光景」そのものというか。鉄腕アトムやドラえもんや21えもんの世界というか。

 実現しちゃってるんですね〜

 オリヒメというロボット自体もびっくりなのですが、そのオリヒメを通して働いている人たちの活躍が感動的で。そして、AIではなくて、人間が動かして、人と人がやり取りしているその光景も、良いですね〜。

 オリヒメを開発した吉藤オリィさんのこれまでの歩みのドラマも良くて、オリィさんの生き方がそのまま多くの人たちへのメッセージになっているような気がします。(車椅子についても物凄い改良を重ねているようで、是非映画館とかでも導入してくれんかな?全国のシネコンさん?映画館さん?ってちょっと思いながら読んでた)

 自分は手先が(それはもう自信を持って!)とても不器用で、いまだに折り紙もろくに折れないのですが、折り紙や、手先を使うことに限らず、好きなことを夢中になって続けていけば、「とがった人」になれるとのメッセージ。51歳の私の肝(チム)にも響きました。

 とがった人になろう(=゚ω゚)これから。

 とにかく、やられている事柄が全てびっくりの一冊でした。子どもたちにも、大人の人にも是非読んで欲しい一冊です!よろしくお願いします( ´ ▽ ` )






 

 でさ、

 最後の頁に、趣味は?と聞かれて、車いす、白衣っていうのは、なんとなくわかるというか、イメージ出来る気がするんやけど、

 階段 ?

 階段だらけの家???えー?何それ?面白ーい!って、思いました。(か、考えたことなかった( ゚д゚)階段って、なんか奥が深そう……)
  


Posted by にいさん at 2024年03月19日 20:40

松岡孝志郎『「那覇へ、別府から。」道端 南島行』




 別府市在住の御著者、松岡孝志郎さんのお人柄そのままの写真と詩とエッセイが、あなたを那覇と別府の街角へ、すーじぐゎーへと誘います。いや、那覇市だけじゃなく。

 そういえば、先日沖縄の友人から「沖縄の〈基地周辺の街の景色〉と別府の景色は似ている」と言われて、そう言われてみれば-と思い至りました。頭の中で、キャンプ・ハンセンとキャンプ・チッカマウガのイメージとが混ざり合いながら、幼い頃の故郷の情景が蘇ってくるようでした(ただその場所への眼差しの違いは、なんとも対照的なことか)。


 とにかく松岡さんの写す路地、街角が素敵過ぎて、何度も何度も、頁をめくり直しては、うっとり見詰めてしまいます。それは『気づかないうちに上書きされて』さながら古い細胞が新しい細胞へと置き換えられる街の景色。那覇も別府も、どんどん上書きが繰り返されていく。それを写真と言葉で記してくれる人がいるから、こうして振り返ることが出来るのです。

 先日見たばかりのモノレールの新軌道からの景色も。

 辺野古のキャンプ村そばの景色のすぐ数頁後に、別府国際観光港の情景が来ると、なんとも不思議な気持ちになるものですね。

 写真だから伝わる世界で沖縄と別府の姿。それはとても優しい眼差しによる景色でした。是非あなたも触れてみて欲しいです。



 いま別府市千代町のSpace Beppuさんにて、販売しているそうです。良かったら是非手に取ってみてくださいませ!
  


Posted by にいさん at 2024年03月18日 14:38

令和5年度NPO基盤強化支援事業の助成金交付いただきました。




(この式からの帰宅時に、従姉妹の訃報を知らされて、その日は投稿を控えていたのでありますが…)

 先日の3月11日。大分市のアイネスにて『令和5年度 NPO 基盤強化支援事業』の助成金交付式ならびに各種表彰が行われました。

 私が運営させていただいている任意団体「ゴーヤーとカボス」が、公益財団法人 おおいた共創基金さんより、助成金交付の3団体に選んでいただきまして(思ったよりも大層なセレモニーでびっくりいたしましたが(失礼))壇上にて目録の贈呈をいただきました。人前での表彰というのは……多分、幼稚園時代の別府市のスケッチ大会以来のことだと思います(別府タワーの絵を一生懸命に描いたらナショナルの看板がうまく描けずに落ち込んでいたら、特別賞をもらってびっくりした思い出が)。

 ささやかな規模ではありますが、大切に活用させていただきます。これからも、沖縄式読書会の他にも新たな計画の準備に着手しておりますが、より一層、沖縄と大分の架け橋活動を発展させてまいります。よろしくお願いいたします。

  


Posted by にいさん at 2024年03月17日 19:35

従姉妹のねえさんが旅立ちました。



 3月11日。

 まだ61歳やに。

 良くないと連絡を受けたのは、ほんのひと月くらい前でした。住んでいた郡山市から実家の大分市に帰宅して、痛みを和らげる手術をした後にホスピスへ。

 本当に穏やかなお見送りだったそう。

 その間献身的に看病し続けた妹のねえちゃんには頭が下がります(従姉妹の三姉妹の次女のねえちゃんが連日看病してくれて、面会は家族に限られていて、親戚や親しい間柄でも顔を見ることは叶いませんでした)。幼い頃から、沢山遊んでもらった従姉妹の三姉妹でした。


 つい数ヶ月前まで(全国各地、東奔西走で飛び回り)最後の赴任地となった福島県郡山市の文化センターで、支社長としてバリバリ働いていたのに。

 うちの親戚の中では一番元気な印象を皆が抱いていた長女のねえちゃん。お酒がめっちゃ強くて働き者で。

 帯広-福山-埼玉-東京…え?長崎?仙台?水戸?そんなところでも働いてたん???と昨日の葬儀で来てくれた各地の同僚さんから話しを聴いて初めて知ることばかり。そして、家族や親戚には見せなかった顔も(ま、そうだよね。家族が知らない顔くらい、でも、親戚みんなが驚いていた)ご両親のおいちゃんとおばちゃんは、高齢であっても元気でいてくれてるだけに、そこは…おばちゃんの悲しい気持ちの声かけは、そりゃ「辛いよ」くらいは言わせてね。おばちゃん、おいちゃん、妹のねえちゃん達の気持ちの重さには及ばないし、言葉には出来ないけれど、

 コロナ禍に入ってからは、それまで正月やお盆や、なんやかやで集っていた大分市の家(父方の実家)には、以前のようには集まらなくなってたから、コロナ禍に入る前(まだ自分が劇団にいた頃)以来になるのか。もう、そんなに会ってないんだね。久しぶりに親戚の集う場がこういう形になるなんて。というか、葬儀からの帰り道。ねえちゃんが、我々を会わせてくれたん?ってちょっと思ったよ。

 本当はもう少ししたら、自由になって、大分に帰ってくるはずやったって。もっともっと話しがしたかった。どんな別れも、辛いもんは辛いね。って事も改めて教えてくれたね。

 たえ子ねえちゃん。子どもの頃からいっぱい、いっぱい、思い出をありがとう。

 じゃ、またね。

 というか、

 もうちょっと、待っててな。
  


Posted by にいさん at 2024年03月14日 20:37

舞台『カタブイ、1995』を ひめゆりピースホールで鑑賞。





 『カタブイ、1995』那覇市の ひめゆりピースホールでは明日(6日)までの公演です。もし間に合う方は是非お越しください。この後3月15日から18日まで東京・下北沢小劇場B1で上演されるそうです。ひとりでも多くの皆さんにご覧になってもらいたい舞台なので、ネタバレ等抑えての感想です。



 自宅の真上を、耳をつんざく爆音がマウントしてくる。ラジカセから流れる音は瞬殺されて、まるで聴こえるものではない。

 でも彼女の耳にはしっかりと聴こえているんだ。彼女は舞をやめる事をしない。音の暴力は彼女の身体に染み込んだ音楽を組み伏せることは出来ない。

 家族はずうっと、そうやって「日常」を守ってきたのだと思う。事大主義に流れることを良しとせず……とゆう表現を自分が言うことは、ちょっともうよそうかな。しかし、何故どうして、この家族がこのような選択を、決断を、迫られなければならないのか?日本政府よ。そして、沈黙する日本人よ。見ないふりをする日本人よ。無関心な日本人よ。私に向かって「さっさとあの海を埋めたらいいんや」と下品に言い放った地元の元公務員よ。

 これは「この家族の問題」ではない。「沖縄の問題」ではない。「沖縄に押し付ける者たちの問題」じゃないのか。「日本全体で考える問題」じゃないのか。あの海兵隊の基地は元々この場所にあったものじゃないぞ。そしてこれはセイジテキタチイチだけの問題なんかでも無いぞ。あの地でまさに反対運動をした結果が「沖縄に移ってきた」事を知る先輩は今辺野古へ通っている。その歴史的経緯に心を痛めて行動に移した先輩のような人は少ないという。いや、行動を起こせとまでは言えない。せめて知って欲しい。沖縄に負担を押し付ける者をこれ以上国会に送らないようにして欲しい。遠くのカタブイをTV画面から眺めていないで、せめて一度はここへ来て一緒に濡れてくれ。と私は言いたい。



 この舞台の設定は1995年。戦後50年の年であり、沖縄の施政権の日本への移動(いわゆる本土復帰)からは23年。そして、あの痛ましい事件が起きた「あの年」を描いた物語です。

 昔、ある子どもにまつわる悲しい事件について、舞台の恩師が言っていた言葉を思い出しました。「誰かの痛みを社会全体が共有して、一緒に涙を流すことが出来たら、世界は変わる」という意味の言葉を、舞台を観ながら、不意に思い出していました。

 一緒に雨に濡れて、共にキビを刈って、共に泣き、笑い合うことからしか、前に進むことは出来ないのかもしれない。

 この「現実」を背負わざるを得なくなった家族の姿を通して見えてくるものを、もっと日本中で共有出来ないものだろうか。

 そんな、こんな考えながら、今沖縄を後にしています。

 自分は自分に出来ることをやる

 の思いも、改めて噛み締めつつ。

 



 エーシーオー沖縄さんによる「沖縄本土復帰50年企画」として展開しているシリーズ『カタブイ、1995』は、2022年に上演された「カタブイ、1972」に続く作品です。3部作とのことで、いつの日か、「2025」を加えた3本通して観てみたくなりました。素晴らしい舞台でした。
  


Posted by にいさん at 2024年03月05日 20:15

【ゴーヤーとカボス読書会】in 沖縄・ブッキッシュ!(後編)




 

https://haruniy.ti-da.net/e12689354.html

↑読書会前編はこちら!


 とにかく前半部分で(いつもの沖縄式読書会の会場使用時間であります)2時間、でも足りない盛り上がりように嬉しい悲鳴をあげてしまう思いでした。そしてこれからが、いよいよ後半のプレゼント交換へと進んでまいります。

 記念すべき沖縄開催でのプレゼント本はこちらのタイトルでした。

 梨本香歩『物語のものがたり』(物語の作り手はどうやって「ものがたり」を読んでいたのか?「赤毛のアン」「秘密の花園」などの名作を例に取り、作者はその人物や場所に何を託してきたのか。その作家の仕事の核心にも迫っていくという、これまた興味をそそられるエッセイです)

 呉明益〈ウ・ミンイ〉『自転車泥棒』(ここのところ益々「台湾文学」が熱いですね!作者はまさにその台湾文学を代表するひとりかも?この小説にに出てくる自転車は日本製だという話し。そして台湾の近現代史についても浮かび上がってくるという物語に?こんなふうな切り口で語られるのか-という驚きがあるそうです)

 瀬尾まい子『図書館の神様』(本のサブスクサービスがあるのですね。マッチング方式で選ばれる一冊は、どんなタイトルが選ばれるのか届くまでわからないという仕組みに?そんな、この本との出会いの仕方にも興味が湧いてきました。ある夢を諦めなければならなくなった臨時教員の主人公が、まさかの文芸部の顧問に?そこから生まれる出会いと変化とは。設定にワクワクしてきますね)

 沖縄現代俳句協会『沖縄歳時記』(沖縄の季語……うりずんとか?あとは、あまり思い浮かばない自分にショックです〈これから読んで学ばせていただきます!〉具体的な短歌が引用されていてわかりやすいです。選者さんによりますと、トイレに置いて読むのもおすすめだそうです)

 ジョン・オースティン『ゾンビの作法』(今回もしかしたら?唯一の「実用書」になりますでしょうか。もしも自分がゾンビになってしまった場合に、サバイバルしていく為の実践の書だそうです。ゾンビが大好きな方、もしもゾンビになってしまった時にどうしたら良いのかが気になる方には激しくお勧めしたい一冊!今回一番、読んだ感想を聞いてみたい本かもしれない)

 オスカー・ワイルド『幸福な王子/柘榴の城』(大人の童話の短編集だそうですが、しかし作者は元々これらの物語を子どもたちに向けて書いたそうで。それはとても繊細な大人に向けたかのような?そんな苦味のある味わいの、気になる童話たち)

 坂本龍一『音楽は自由にする』(教授〈坂本龍一さん〉へのインタビューを、彼自身の「語り」として文章化したもの。幼稚園での初めての作曲から、YMOの時代、映画「ラストエンペラー」等々、自らの人生について(それらの全てが貴重な証言)語っていきます)

 小川哲『君のクイズ』(アメトーークでも話題になり、更にいくつもの賞を獲得するなど非常に反響を呼んでいる一冊だそうです。クイズを通して人生が見えてくる!?しかも泣けて来さえするという話し。そして、青春小説としても素晴らしい、そんな一冊)

 植松三十里『万事オーライ』(今回の読書会を沖縄で行なうにあたっては、まさにこの本を通して故郷・別府を伝えたい!という思いもあり迷わずの選書。別府温泉が一大観光地として成長する過程のドラマを熊八さんの人生と共に知ってもらえたら嬉しいです。今回の参加者の皆さんはまだ別府市にはいらした事がないそうで、もしこの読書会がきっかけになって、足を運んで下さったら良いな、という願いも込めて)


 今回の沖縄・ブッキッシュでの読書会は、私にとっても忘れられないものになりました。ご参加いただいた皆様、いっぺぇにふぇ〜でぇびる!

 そして、またお会いしましょう。
  


Posted by にいさん at 2024年03月05日 14:37

【ゴーヤーとカボス読書会】in 沖縄・ブッキッシュ!(前編)





 2020年から大分県別府市で開催してきた『沖縄式読書会』。この読書会の基礎となった本場沖縄の『本もあい』実施会場でもあります西原町のブックカフェ・ブッキッシュさんにて(里帰りイベントのような?)昨日3月3日『ゴーヤーとカボス読書会』と銘打ち、開催してまいりました。

 「任意団体ゴーヤーとカボス」初の県外出張(!)

 本もあい参加者さんをはじめとして、久しぶりの読書会ですという方も。「初めまして」の参加者さんともお会い出来て嬉しかったですね。当初は6人くらい集まってくだされば…と思っていたところが、なんと見学の方おひとりも含めて10人の参加というゴーヤーとカボス史上最多の参加者数に(ひとりが見学で、9人での読書会進行)。いつもは別府市で2時間のところ、今回は3時間でも足りないくらいに、大いに皆さんに語っていただきました(とにかく盛り上がりました。ちょっとこれまで記憶にないくらいに)。

 さて、そんな今回の沖縄での読書会。集まったのは、こんな本たちでした。

 辻村深月『ツナグ』『ツナグ 想い人の心得』(もう会いたくても会うことは叶わない。そんな向こうの世界とこちら側とを結び付けるのは、電話番号?それは、向こう側の人にとっても「一回限りの機会」であり……とても惹かれるストーリー。しかし、なんて切ないんだろう。あらすじだけで、胸がキュッと締め付けられるような気持ちに)

 小川糸『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』(最近まで新聞連載で読まれていたそうで-新聞連載小説の読者さんって結構いらっしゃるんですよね-単行本化してすぐに手に入れたという作品。2作品共に話しが繋がっている事がわかり『キラキラ共和国』の前日譚『ツバキ文具店』も読んでみたそうです。鉛筆や紙の種類について等々、文房具好きにもたまらない小説のようです。おばあちゃんとのエピソードにも聞いているだけで涙が)

 土橋章宏『身代わり忠臣蔵』(ご存知忠臣蔵の吉良上野介を主人公としたコメディ!映画化もされていたのですね。「身代わり」とは?吉良上野介は実は……これ以上は書けませんが、表紙のカバーにもなっている通り、映画ではムロツヨシさんが主演との事、これは観てみたい!忠臣蔵ファン必読の作品だそうです)

 丸井諒子『竜の学校は山の上』(大ヒット作『ダンジョン飯』の作者の描くコミックファンタジー。ケンタウロスの人類?に、いわゆる現実での人類は「猿の人」?他にも竜の人もいらっしゃり、多種多様な人たちの文字通りの共生社会。ケンタウロスの人たちは働き者で睡眠時間も少なくて「生産性の高さ」から重宝されるが故に……と、そんな恐ろしき予感と、不思議な人間味に溢れたファンタジーが展開されていきます)

 桃野雑派『星くずの殺人』(新時代の密室殺人!?それは宇宙空間で。多くの人々が宇宙旅行に行く時代に、それは起きた。宇宙船のパイロットが殺害された。それもロープで?そこは無重力の空間で、誰も入れないはずの現場。そして、そこに乗り合わせた乗客たちの-7千万円を払い宇宙旅行へと赴いた-思いと共に描かれていくという本格推理未来小説)

 高野秀行『謎の独立国家ソマリランド』(内戦が酷いソマリアの中で次々と独立国家が生まれている?中でも「ソマリランド」という独立国家の噂を著者は耳にします。国連にも承認されていないその独立国家群の中で、ソマリランドだけは?実に見事な国家運営がなされているらしいぞ?著者は周辺の「海賊国家」と言われる地域や、北斗の拳に例える地域にも言及しながら、そして遂に、謎多き独立国家へと向かうのであります。高野さんの着眼は本当にいつも目から鱗ですね)

 雑誌『精神看護』(シリーズ「ケアをひらく」の解説特集号。エッセイ「居るのはつらいよ」が凄く面白い!ケアの大切さと、大変さ。これはまったく他人事ではなくて、友人、家族、いろんな人の顔が浮かんできました。看護やケアの現場にいる人だけでなく、広く知られて欲しい内容のようです)

 笹倉尚子、荒井久美子『サブカルチャーのこころ』(サブカルチャーと心の関係。御紹介曰く「オタクのカウンセラーによるサブカルを通したアプローチ」それ面白いですね!好きな事-サブカルの作品、ジャンル、なんでも-を通してカウンセリングが展開されていく?なんと興味深いことか )

 上間陽子、信田さよ子『言葉を失ったあとで』(沖縄で地道な社会調査を続ける上間陽子さんと、臨床心理士でDVの問題にも精通されている信田さよ子さんによる共著。「聞く」ということの実際について。今まさに語られている「被害」「加害」をめぐる理解の仕方とは?これもどうしても読んでおきたい一冊に思いました)

 ロバート・コルサン『統合失調症の一族』(アメリカの、とある将校の家族にまつわるノンフィクション。その家族では、統合失調症を抱えた人が6割に至るという事を著者は詳しく調べていきます。「遺伝か?環境か?」「6人の子どもたちが見たという幻覚とは?」それらの現象、症状の原因とは。選者さんが仰るには、しかし実は希望の余韻が残る話しでもあるのだと。気になりますね……)

 逢崎遊『正しき地図の裏側より』(なんと、本模合の生みの親でもある先輩が駆け付けてくれて「さっき夢中になって読み終わったところ」と紹介してくれた読みたてほやほやの一冊だとの事。著者の出身とは裏腹に?場面は雪深い情景で……、人の「情」というものをとても感じさせられる小説。金曜日に手に取って、面白くて時間も忘れて一気に読んでしまったそうです。今、沖縄の書店でも「イチ押しの一冊」として置かれていりる注目作)

 津村記久子『この世にたやすい仕事はない』(中・短編集のこの一冊。なんなんだこの仕事は?モニターをじっと見つめる主人公と見られる対象の女性は身じろぎもせず、と思いきや!?この奇妙なお話しが、如何にして「浮遊霊がブラジルに行く話し」に繋がるというのでしょうか?気になって気になって仕方がありません)

 小津夜景『いつか たこぶねになる日』(漢詩と、フランスの日常。南フランスのニース在住の俳人である著者が、そこでの暮らしの日々を、先人たちの詩を織り交ぜながら、丁寧に言葉を紡いでいくという、なかなかのエッセイです)

 松岡孝志郎『那覇へ、別府から。』(著者と主催者とを繋いでくれたのはブッキッシュの店主さんでした。こちらのお店にも本を送ってくれたという松岡さんの思いの詰まった一冊。20年歩いてきたという沖縄の街並みと故郷別府市の風景の写真の間に著者の言葉が綴られていきます。写真がとにかく素敵な一冊でありました)

 土門蘭『死ぬまで生きる日記』(「死にたい」という気持ちを持つのは何故?カウンセラーとの対話と、書くという行為を通して、自分自身と向き合っていく著者-それはきっと読者も共にでしょうか?-この「死にたい気持ち」との向かい合いは、webで多くの反響を呼び起こし、書籍化にまで至りました。生きづらさを抱えた全ての人へ知らせたい一冊)

 豆塚エリ『しにたい気持ちが消えるまで』(図らずも、店主さんの紹介された一冊と「あ、繋がってるかも」と言い合うという、そんな驚きの並びに。高校生の時に「飛び降り」た著者がそこまでに至った経緯と、そして現在に至るまでの道のりの中で、いかに「しにたい気持ちが消え」たのか。いや、実際のところは、今どういう道を辿っているのか……については、是非手に取って、読んでみて欲しい一冊です。いつもは沖縄に関する題材を中心に選ぶところ、今回は、大分県在住の作家さんのタイトルを選書させていただきました)

 
 今回は、紹介して下さる本だけで凄い分量ですね。さすがは「本もあい」の地元です。次はいよいよ後半のプレゼント交換に入りたいと思いますが……今回は前半だけでもボリューム満点というわけで、

 続きは後編で。
  


Posted by にいさん at 2024年03月04日 18:04

沖縄は新しい景色で、暖かかった。(ただいま帰りました!)







 ゆいレールの安里駅に到着すると、りうぼうの外観が新しくなっていた。そして、よく通っていた沖縄そばスタンドが、なくなっているではないですか。

 このホテルも、昔仕事で利用していた頃は違う名前だった。看板が変わって、でかい立体駐車場が出来ていて……もう自分が暮らした頃の那覇市とは違う景色に、どんどん移り変わっている。

 この変わりゆく景色を目に焼き付けておきたいと思いました。

 今回は、沖縄では初めて、レンタカーは借りずに。モノレール(ゆいレール)での移動の旅になります。

 明日は、ゆいレールの新しい軌道を体験する予定です。牧志の公設市場も新しくなってるというし、新しい沖縄に、ドキドキしています。


 写真、1枚目。宿からの坂を降りるといる「うふシーサー」。2枚目。タイラ製麺所のタイラそば(皮付き豚バラ肉どっさりの沖縄そば)。3枚目は現在禁酒中につき、気分だけでもオリオンで。そして部屋に入って流すはradikoタイムフリーでラジオ沖縄「暁でーびる」を♪もう完璧ですね。


 というわけで、なま、けーやびたん!
  


Posted by にいさん at 2024年03月02日 21:21

小説『万事オーライ』(油屋熊八さんが小説になりました!別府温泉を繁栄させた立役者)





 植松三十里さんの小説『万事オーライ』を読みました。


 旅人をねんごろにせよ


 その聖書の一節こそが、彼の座右の銘。

 我々別府市民には超有名人。別府駅前の銅像の、あのピカピカのおっちゃん。今からおよそ100年前に、別府市を有名な一大観光地にした人。それが油屋熊八さんです。

 (別府市民は皆?)子どもの頃に、あれは、もしかしたら教科書の副読本みたいなものだったのでしょうか。郷土の偉人たちを紹介する冊子があって、その中で特に強い印象を受けた人物こそが、油屋熊八さんでした。

 地獄めぐりも、観光バスと名物バスガイドも、九州横断道路も、国際観光港の前身となる別府港に桟橋を架けて旅人たちの賑わいを作り上げたのも、この人の働きかけあればこそ!スケールの大きな別府観光の立役者であります。

 地元の人たちの中では、一部に「ああ、あの人は、よそから来た『山師』だから」って言う人もいて驚いた事もあるのですが(子どもの頃からの憧れの刷り込みもあり、又そうではあって欲しく無いけど実際よくは詳しく知らなかったというわけで)以前、休職期間中に地元の図書館通いをしていた時に、熊八さんについて書かれた資料・論考を色々と読んでみたところ、浮かび上がってきた姿は……たしかに、若き日の熊八さんは、大阪で派手な株式投資により(今ではちょっとアレな手段。当時はまだフリーに色んな人たちが投資出来た時代)油屋将軍などと異名を付けられる有名人ではあったこと。しかし、株の暴落で逆に巨額の借金を背負う事となり、単身の米国武者修行?からの、本人としては不本意な帰国を経て、遂に運命的な別府温泉との出会い。そこの古い旅館「亀の井旅館」を引き継いでからの、ここからはまさにイチからのスタートを(いやさ、マイナスからのスタートか?)きった事がわかります。そう。ここからの油屋熊八こそが、我々の伝え聞く〈黄金期〉であり、それはそのまま別府温泉(そして別府市の)発展の歴史と重なっていくわけであります。

 熊八さんの元には地元の様々な個性的な人たちが集まってきます。(お伽倶楽部のエピソードは、図書館で読んだ資料にもありましたね。久留島先生との絡みも嬉しかった)そこにはもはや、かつての『油屋将軍』の姿も「(いまそれ流行っているのか?)自らを〈何者か〉である」事を誇るような傲慢さも微塵もない、自然と周りの人を惹きつける「おおきなひと」がそこにいた、という事がわかるのではないでしょうか。

 別府に来てからの熊八さんは、自分ひとりの利益を傍に置いて(ただ、その事で周りをハラハラさせてしまう事はあったかもしれない、心配もかけたかもしれない-という事もまた描かれながら)ひたすらに観光地・別府の発展の為に尽力してきた姿に胸を打たれるという、そんな物語になっています。

 この一冊を読むと、これからは、地獄めぐりも、ラクテンチのケーブルカーも、あらゆる地元の観光地(かつてのその跡地も含めて)を歩く時の景色の見え方が変わってくる事でしょう。

 是非、全国の人たちに読まれると嬉しいなと思いました。観光地別府の魅力を、改めて教えてくれた一冊。今はもう見る事の叶わない懐かしい景色もふんだんに登場します。幼い頃よく遊んだ旧桟橋(旧別府港跡)と、最後に残った港の前の旅館の建物の記憶。ケーブルカーにも久しぶりに乗ってみたくなりました。

 そして、熊八さんが別府にやって来た年齢が48歳だったという事についても、色々と深く噛み締める事ありの、今の私でございました。
  


Posted by にいさん at 2024年03月01日 15:10

『南島の地名を歩く』と面白い!(南島地名研究センター編)





 地元別府市の書店で、沖縄の出版社ボーダーインクの新書『南島の地名を歩く』を取り寄せて購入(すると、届くのに10日もかかるんだねwこの後再び沖縄から別の本を「取り寄せ」したら、さらにもっとかかっちゃいました)。待った甲斐のある面白さ!沖縄の地名って、本当にユニークで、歴史があって、奥が深いのです。

 ここでいう「南島」とは、奄美を含む琉球弧の島々のこと。我部祖河、喜瀬武原、東風平、渡嘉敷、宜名間、具志堅、保栄茂…なかなか他の地域では聞かない地名の数々(この中だと具志堅がメジャーに見えてしまうという…)。個人的にお気に入りの「保栄茂」は、触れられてはいたけれども由来に付いての深掘りはなかったですね。今度自分で調べてみたいと思います(沖縄県民には超有名地名の「保栄茂」が何と読むかは、是非当ててみてください^_^)。

 地名の紹介と共に、その歴史的な変化について、日本やアメリカが関わってくるくだりは、日本人として、考えさせられるし知って欲しいし-と思いました。面白いというだけでは終わらない、その歴史についても。

 (地名の面白さは是非この本を読んでみていただきたい!として…)ここでは、どうしてもこの話しになってしまうのだけれど、あの沖縄戦でアメリカに占領されてしまった土地は、その以前にも、日本軍によって接収された土地があったこと。それらは石灰岩台地上の良質な耕作地であって、古来より沖縄の人たちが沢山暮らしてきた土地であったこと。そこを更に米軍が利用・拡張し(どんどん、暮らしの場所が奪われながら)現在に至るわけです。

 それら米軍基地の「人名による名称」は正式名ではなく「通称」とはいえ、沖縄戦で「勲功をたたえられた将兵の名前」に由来して付けられているというのは有名な話しですが、これを正式名と思っている米兵さんが多いとの事ですが、通称だからね!間違えないでくださいね。大体、地元の人たちからしたら、家族が犠牲になった沖縄戦で勲功をあげた軍人の名前なんか付けて呼ばないでもらえますか?って、私はずっと思ってきました。

 あと、人の名前じゃないけれど、ライカムもね。あれ、由来知ってて付けてるのか?って、最初聞いた時には驚きました(○○施設の名前に…って、まさかやーって思ってしまった)。


 沖縄の地名には、想像を超えて実に様々な角度からの歴史的由来が詰まっていたことが伝わってきました。消えていった地名(名前も、土地としても)についても、思いを馳せ、考えさせられることになりました。



 
 
 あと、私もいくつか足を運んだことのある「馬場跡」の話しなども興味深く読ませていただきました。今すぐにでも沖縄に行きたくなりました!是非是非お勧めしたい一冊です。

  


Posted by にいさん at 2024年02月23日 21:25

#FreeGaza





 かぼちゃ企画様からパレスチナ旗のフェルトバッジを送っていただきました。本当にありがとうございます。

 早速今日からこの旗を身につけて出勤させていただいています。

 イスラエルはジェノサイドをやめよ。

 (日本政府はイスラエルに対して何故「虐殺をやめよ」と言えないのか?)

 ガザに自由を。

 誰も殺すな。


#FreePalestine
#フリーガザ
#FreeGaza  


Posted by にいさん at 2024年02月20日 21:02

映画『笑いのカイブツ』を別府ブルーバード劇場で。





 別府市の別府ブルーバード劇場で、今年の私の注目作『笑いのカイブツ』を観てまいりました。

 あの「みねくん」が、今度は投稿の鬼に!?(ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』を参照)いやいや、岡山天音さんが、同じくラジオの投稿リスナーで登場してきて、『日曜の…』での「みねくん」とは正反対のキャラクターのカイブツはがき職人・ツチヤタカユキ(作者)として、怒って、キレて、大暴れ?でございます(あのTV番組の方は、もしかしてあれって「ケータイ大喜利」?あの時代か、って思いながら観ていました)。

 以下、ネタバレは抑えての感想。ですが、真っさらな状態からご覧になりたい方は読まないことをお勧めいたします。

 不肖ながら、私自身(今は比較的ゆるやかな、時々投稿リスナーでございますが)沖縄のラジオを中心に、ラジオ投稿を趣味とする身でありまして、しかもあの噂の有名はがき職人さんの、夢のような伝説が映画で描かれるという話しで、しかもその主人公を岡山天音さんが演じるというではないか!?という事で、これは観ない理由がなかったという、そんな作品。

 私は、ラジオを聴くこと、たまに投稿もすることも含めて趣味にしながら、ラジオから元気をもらってきた人間であります。周りには(私自身が投稿している事もあって尚更意識せずにはいられない)敬愛してやまないレジェンドリスナー、カイブツリスナー(失礼)も、おられます。

 しかしここに登場する(実在したリスナー)ツチヤタカユキさんは、私の知るどの凄腕職人さんとも違っていた。

 そりゃ、あなたいつ仕事してるんですかwとか、あんたどうかしてるよ(リスペクト!)という感じの先輩とか、人間関係不得意な人とか、そりゃ、見える範囲でいらっしゃるのはいらっしゃるけれども、それらの人間味ある個性を突き抜けて、ツチヤさんの場合はもはや、これは「ジェダイの修行」レベル???

 レジェンドの称号にも飽き足らず、ひたすら24時間「笑い」について考え続けて、憧れの芸人さんにも認められ、番組の構成作家にまで昇りつめたという衝撃の実話。そしてその苦悩について。

 もはや、趣味のレベルとか、仕事のレベルさえも超えた求道心というか。

 単に出世や成功、のし上がるという以上に、「正しき形において笑いで勝負するんや」という。自らの流儀にむしろ潔癖な、というか。

 確かに、至近距離で見詰めると「めちゃくちゃ痛々しい」こと甚だしい。にも関わらず、しかし痛ければ痛いほどに、距離をとってみると「可笑しく見えてきて仕方がない」という、映画自体そんな描き方に徹底していたように思います。(脚本には足立紳さんも参加!監督は滝本憲吾さん)

 総じて悲惨な状態にも関わらず所々笑えてきて仕方がなかったという。それは、ひとつには、その後の少し未来の彼を(この経験談を物語として書き残しているという事は-と)一定程度知っているという状態から「過去の彼の姿を見ている」という前提があるからこそ、悲惨な場面を笑って見られた面はあったかもしれません(人によっては、かなりきつい場面として映る人と、ここは分かれそうだな)。

 この「昇っていってからの経緯」についてをどう見るか、ネガティブな見方をするのかポジティブな見方をとるかも、人それぞれかもしれません。ま、簡単に良かったとか悲惨だったとか地獄だったとか不幸だったとか、そんな評価は、他人には言えぬ話しでございます(ちなみに私は、かなり、ポジティブに響いた観客でした)。

 ひとの地獄を嗤うな。

 そんな映画でした。

 また一方で、

 お前にはその地獄にいて欲しいんだよ。

 というピンク(菅田将暉さん)の台詞も良かったですね。

 それから、業界の「力持っててうまく回してくれてる常識人ぽい大人たち」には、私もツチヤさんと同じ言葉を投げかけたくなりました。だから、お前こそ、そこの世界で残れよと……そう思わなくもなかった。でも、そこから選び取った道を、人間関係不得意なままで堂々と生き抜いている作者に声援を送りたくなる、そんな作品でした(いや、観ているこっちが彼に背中を押されているのか)。


 よし。自分も頑張るぞ!

 ラジオ投稿。





 (そっちかよ……)





 追記:ヒーローが、敵の思想に心が揺れた-ってぇのは、確かに面白かったけど、最近のアメコミ映画だと普通にありそうな展開だな〜と思って、苦笑いしてしまいました。
  


Posted by にいさん at 2024年02月18日 22:41

2024年最初の『沖縄式読書会』はゲンシシャで!







 今年最初の『沖縄式読書会』は(今回で第22回目に)久しぶりの書肆ゲンシシャさんで行いました!

 ゲンシシャでの開催っていつ以来だろうと記録を見てみたら、なんと2021年の12月以来でした。丸々2年間、間が空いてしまっていたのですね。(個人としては何度も来ていたので、驚きました……)

 今回は3名の参加者での読書会に。こんな特別な空間で3人で本の話しとは、なんとも贅沢というか、いつにも増してより一層濃ゆい回になったように思います。

 さて、そんな久々のゲンシシャさんでの『沖縄式読書会』集まったタイトルはこちらです。

 小口尚子、福岡鮎美『子どもによる子どものための「子どもの権利条約」』(95年に出版されたこちらの一冊。なんと著者はふたりとも当時まだ中学生だったとの事。子どもたち自身の言葉による「子どもの権利条約」の日本語訳。そこに大人による翻訳文と英語の原文とが合わせて掲載されています。日本も批准しているこの条約。恥ずかしい話し、国連の〈子どもの権利委員会〉からは日本における条約の実施状況について、繰り返し厳しい(そして多岐にわたる)勧告を受けていて、是非この国の政府の人たちにも読ませたい本ですね、などと盛り上がってしまいました)

 フェルナンダ・メルチョール『ハリケーンの季節』(メキシコ文学は初登場でしょうか?実話を基にした小説。メキシコのとある村で「魔女が殺された」という事件を巡って、そこに居合わせた様々な人たちの証言を聴いていくうちに、事件の真相が浮かび上がってくるという構成。著者は、かつてノーベル賞まで手にしたという南米の大物作家が「文学にフェミニズムはいらない」などという言葉を放ったことへ強い反発を抱いたそうです。この作品自体は、その「発言」よりも前に出されたそうですが、見事に「いらない発言」へのカウンターとしての力漲る一冊のようです)

 南島地名研究センター編『南島の地名を歩く』(主催者より、今回の沖縄関連本として紹介させていただいた一冊。沖縄の地名って面白い!!大工廻、なかんだかり(←変換出来ず)、馬歯山、波照間、なんだなんだ?北がニシ?沖縄ならではの地名の話しはとにかく面白い!参加者様に「保栄茂」の読み方クイズをすると、びっくり仰天していただけました(笑)沖縄・琉球の言葉とは、実に奥深いものなのです)


 そして今回プレゼント本で集まったのはこちら。

 ノーラ・エレン・グロース『みんなが手話で話した島』(文化人類学者によるフィールドワークを基にした傑作ノンフィクション。「あの人たちにハンディキャップなんてなかったですよ。ただ聾というだけでした」とは帯のことばより。アメリカのマザーズ・ヴィンヤード島では、20世紀初頭までは島民の大半が聴覚にしょう害を抱え、手話による会話が公用語であったというのです。それは、聞こえる聞こえないに関わりなく。障がいとは?ハンディとは?「マイノリティとはいつか立場が反転し得るものである」という会話が実際に起きていたという実話です)

 Art.31『ワニブタカレンダー2024』(私もお部屋にかかっておりますワニブタカレンダー!「子どもの権利条約国連採択35周年、国会批准30周年と銘打たれた今年のワニブタカレンダー。表紙には第31条が。「子どもには じゅうぶんな休みと 自由にすごす時間が必要で、子どもにとって遊びは奪われてはならない大切なものであり、子どもは豊かな文化の中で生活し、芸術に自由に参加できるようにすると、日本は世界の人々に約束した。」〈Art.31訳〉と、あります。大人の人たちにも毎日読んで欲しい、そんなカレンダーでございます)

 川越宗一『熱源』(今回主催者からのプレゼントに選んだのはこちらの一冊。舞台は樺太。アイヌの民と、彼らを見詰めるポーランド人の青年。そこはもうひとつの故郷というか、熱源だった。「文明」なるものに暴力的に侵蝕されていく先住民たち。「滅びてよい文化などない。支配されるべき民族などいない。」そう言い続けなければならない世界が、100年以上過ぎた今もなお?と、言いたくなります)


 今回と次回の(別府市での)『沖縄式読書会』に集まった皆様からのカンパは、能登半島地震の被災地への募金として、別府市役所の窓口へ納めさせていただきます。
   


Posted by にいさん at 2024年02月17日 22:43

2024年最初の『沖縄式読書会』開催致します!






 「ゴーヤーとカボス」主催。『沖縄式読書会』を開催致します!

 これまで、沖縄式読書会の開催は、人数制限の関係もあって(当日対応が難しいケースが考えられる為もあり)基本的に、主催者と参加者の皆さんによる個別の呼びかけと「紹介」で行ってまいりました。

 (ただ、正直人数が良くも悪くも?規定人数以下で推移している事もあり)今回は試みとして、事前にblogとSNSでの告知を行いたいと思います。初めての方からは「ハードルが高くて」という声もいただいておりますが、日本一?敷居の低い、参加しやすい読書会でありたいと思っておりますので(そして濃ゆい読書会!)どうかお気軽に申し込み・お問い合わせいただけると嬉しいです!

 2024年2月17(土曜日)別府市のブックカフェ、書肆ゲンシシャにて。時間は17時から19時まで。会費はいただいていませんが、カンパを呼びかけさせていただいています。いつもは皆様からのカンパを読書会の活動経費にさせていただいているのですが、今回は、能登半島地震の被災地への支援金に(別府市役所の窓口へと)使わせていただきます。どうかご協力をよろしくお願い致します。

 参加表明あるいはお問い合わせは、私上村洋の各種SNSにてお受けしております。Twitter(X)とmastodonでは、にいさんのペンネームで使用しております。



 『沖縄式読書会』とは、沖縄の読書会「本もあい」を基にした読書会です。

 第一部では、参加の皆さんが「最近読まれた1冊」を紹介していただきます。(当日参加を決められて持ってきてなくて-という方は、実物が無くても構いません。最近の読書について話していただけると嬉しいです)そして第二部においては、参加者の皆さん同士での本のプレゼント交換を行います。各自持ってきていただいた一冊を紹介いただいた後に、阿弥陀くじで、本のプレゼント交換を行うという流れです。

 プレゼント本がご用意出来ない方は、こちら主催者の方でご用意いたしますので、一緒にプレゼント交換に参加していただけます。どうか、沖縄式の読書会の楽しさを味わっていただけたら幸いです。


 ※写真は過去の読書会の様子。
  


Posted by にいさん at 2024年02月13日 20:58

小心ズさんの舞台『あみあみばあちゃん』を大分アトホールで鑑賞しました☆





 (※写真は上演後の「撮影会」でのものです)


 クライマックスでのふたりのセッションが最高潮に達した時にはもう、アトホール場内のテンション ガンあがりでしたよ(って書くと何の感想か(=゚ω゚)?って感じやねwでも、そんな感じ)!

 Facebookフレンドさんからのお誘いで、大分市のATHALLで行われた小心ズさんの公演『あみあみばあちゃん』を観てきました。

 出演は大分出身(!)小心ズのヤノミさん(なんとシルクドソレイユでもご活躍!)と、これまたなんとお馴染みCAN青芸から♪浅野佳砂音さんによるふたり芝居。

 これからもきっと愛される作品だと思います。これからも、たくさんの皆さんにご覧になっていただきたい作品なので、出来るだけネタバレはせぬように感想を書いていきたいと思います。

 正直、観る前は、ちょいと身につまされると言いますか、私もそれなりに両親共に高齢になりまして、介護や認知症という状況からはなんとか(危ないところ、本人が踏ん張ってくれたところもあって)そこは回避しながら、日々ハラハラしながら向き合いながら……という感じでございますので、最初にチラシを読んだ時には「自分、ちゃんと穏やかに観られるかな?」という不安は、正直にいうとありました。

 しかし、これはもう役者さんの力でしょうね。カラッと笑って、迷って、怒って、困って、また笑って、っていうふたりのささやかな物語のうねりに心地好く乗っからせてもらいました。

 ストーリー(と言っていいと思うのだけれども)の展開も良くてですね〜。吉田さんと、あみあみばあちゃんの正しき関係が明るみになる中盤に、まずホロっとさせられて。あれだけ頑固に譲らないおばあちゃんが、実は最初から、「ある愛情」でもって貫かれている姿が露わになっていくにつれ、わかっていないようで「ちゃんと繋がっているふたり」の関係がめちゃくちゃドラマチックに響いてきて。もー、後半はヤバかったですねー。

 困った果てに、ショーもしちゃうしセッションまで!?そしてその底辺には濃い愛情が流れていて。

 むしろ、最初に「きついんと違うかー?」と思っていたところが、笑いと愛情あるドラマになってて(世の中には、愛情はあるが切ない話しもたくさんあるわけで)凄く救われた思いがしました。笑いと、この愛情があったら、色々、迷子になっても、手を叩いて歌って乗り越えていこっちゃ?-って思えるような。そんなほっこり出来る舞台でした。

 
  


Posted by にいさん at 2024年02月11日 21:31

『ゴーヤーとカボス宣言』の生命力!?(NPO活動じわじわと前へと進んでおります☆)




https://haruniy.ti-da.net/e11748626.html

↑「ゴーヤーとカボス宣言」はこちら。

 運営させてもらっている任意団体「ゴーヤーとカボス」の大分共創基金からのいよいよ助成金受取りの段階になりまして、その為には団体の口座が必要ですと言われて、先日某金融機関へ。

 窓口にて、いざ口座開設を申し出たところ、『NPO……法人では無いのですか?』『任意団体?』『約款等の文書はございますか?』私『約款、ですか』と……(約款などという言葉は知ってはいても、自ら口にしたのは人生で初めてだったかも?だって普段の生活の中で使うか?約款って単語(笑)(汗)(焦))

 もしかしたら、右も左もわからぬ素人相手にちょっと呆れてるのかな?と見えたのはこちらの不安な心境のせいでしょうか。

 とにかく自分を落ち着かせながら粘って相談。そこで、2020年に団体を立ち上げた際の文章「ゴーヤーとカボス宣言」というのがあるのですけど……と話して「銀行本部の専門部署」というところへ問い合わせてもらったところ、なんと「ゴーヤーとカボス宣言」は約款にあたるものになる可能性があると(!)すぐに「ゴーヤーとカボス宣言」を印刷したチラシと活動報告の文書を手渡しました。

 しばらくお待ちください-と待たされて、ほんの数分後。『これは約款になりますよ』との回答。

 そして、この宣言文に必要な文言を書き足して印鑑を捺したら『これで大丈夫ですよ』と(マジカ)団体の活動実績などの証明は毎回発行している報告書の一部と以前取材してもらった際の新聞記事が『これ証明になるのでいただいてもいいですか?』『もちろんです』と。そこからは一気にスムーズな展開過ぎて驚かされました。

 宣言文他、こちらの活動文書を見せてからは銀行員さんの態度がガラッと変わったような?(「ちゃんとしてる団体っぽい」って?とにかく、認めていただき感謝でございますm(._.)m)

 この任意団体の約款に関しての考え方を言うと、基本的に、ガチガチに細かい会則やルールみたいなものは、私は極力定めたくはなくて-というところもあって(その理由は長くなるのでまたの機会にでも)会話の序盤は正直凄く不安でいっぱいだったのですが、任意団体の方向性や理念(沖縄と大分の架け橋を目指す)を言語化していた事と読書会を中心とした具体的な活動の積み重ねがあった事が良かったようです。

 ドキドキでしたが、また大きな一歩が踏み出せたかもしれません。最初は『もしかしたら口座開設の判断に数日かかるかも』などと言われていたのが(文書を見せてからは)ほんの数分で決着。窓口の方々の訝しむ表情が劇的に一気に変わっていったのにもびっくりでしたね(笑)(文書に遺すってほんとに大事ですね。シミジミ)口座開設したその足で大分市での助成金手続きへ。

 しかし、昨年の助成金申請が通って安心してしまって、油断していました。地元で、法人ではなく、個人で任意団体を興して-っていうケースが他に見当たらないというのもあるみたいですが。何かこう、整備されていない獣道を?枝や葉っぱをかき分けながら、今まさに道を作ってる感覚でしょうか。とりあえず難関?突破(安堵)

 また、「ゴーヤーとカボス」の活動を、ひとつひとつ発展させていきたいと思っていますm(._.)mいま、また新たな計画・構想も膨らんでおりまして。関係各位、その時はよろしくお願いいたします!
  


Posted by にいさん at 2024年02月06日 12:14

映画『スパイダーマン :アクロス・ザ・スパイダーバース』がAmazonプライム・ビデオでも観られますよ〜!







 Amazonプライム・ビデオで待ちに待っていた『アクロス・ザ・スパイダーバース』!マイルズおかえりなさい!

 アース199999のド……とかなんとか今回はネタバレは気にせずに書きます(が、書いたところで複雑過ぎて伝わるまいwという感じでございます)ので、これから真っさらな状態からご覧になりたい方は、そこの世界に留まっていただき、このようなblogはすっ飛ばして映画をご覧くださいませ!



 「彼」は傷付き、孤独であった。

 そして、そんな「彼」はひとりではなかった。

 マルチバースの同胞たち。

 「彼」スパイダーマンとは、かくも多様に存在していた。性別を超えて、国・ルーツを超えて、ハンディキャップのある無しも超えて、当然性格・キャラクターは多種多様で※絵柄まで質感が違う(!)アニメーションの可能性までも拡張しながら、こんな多様なソサエティ(共同体)があるなんて、見てるだけでもなんという多幸感か……

 と思いきや。

 主人公モラレスはお呼びではない、って?

 ここは、そんな「同じ痛み」を共有しているはずの共同体のはずではないのか?

 マイルズ・モラレスの存在(その行動)が共同体を破壊してしまう?変えられないはずの運命とは?

 そんな共同体の「軋み」にこそリアルを感じてしまった。

 理想的な共同体と思いきや、多様性を見事に包摂させている共同体と信じたかったのに、ヒーローでさえも、組織・管理化した途端にこれか。

 ミゲルは彼自らの希望などではなく、ただひたすらに、「なるべくしてなるように」「その世界に破綻が起こらぬように」マルチバースを管理することを冷徹に優先し続けていく。たとえ誰かの命が犠牲になろうとも、究極の決断をモラレスに迫りつつも躊躇がないところが恐ろしい。

 

 一方、対するヴィランもまた(特に絵柄が!)多種多様で魅力的だ。まるで、もののけ姫の誰かにそっくりなスポットは、もしかしたら「もうひとりのモラレス」か。冒頭の貧弱に見えたスポットは闘いを経る毎に強くなりながら、モラレスたちと対峙していく。「俺を作ったのはお前だ!」疎外されたヴィランと異端扱いのスパイダーマンとがまるで響き合うように。(段々と恐ろしい敵になりながらも、どこか憎めないスポットというキャラクター)


 そして気になるのが、グウェン・ステイシーとの関係。いかなる多次元世界においても、グウェンとスパイダーマン(多くはピーター・パーカー)とは結ばれない。悲しい運命。

 しかし、ふたりが逆さになって会話する場面は、ちょっと自分には一生忘れられない美しさだった。そんな忘れられない一瞬一瞬を共有出来る事の幸せについて思う。運命と一括りで語られる以上の「一瞬」の時間の価値を思う。誰にも奪うことの出来ない「時」をふたりは過ごしている。それは、歴代の同胞たちも共に。

 モラレスは、どうしても大切な人たちとは別れなければならない運命なのだろうか。

 って思ってるうちに思わぬところで思わぬ相手に拉致られて絶体絶命!?

 グウェンの新チームがめっちゃ魅力的なんだが、さあてどうなる?続きは、『ビヨンド・ザ・スパイダーバース』で、マイルズ・モラレスは、帰ってくる。



 待ちきれない(泣)(笑)

 

 



 それから、レオパルドン。出てたっけ(=゚ω゚)?(日本のスパイダーマンの乗る巨大ロボットね)
  


Posted by にいさん at 2024年02月04日 22:28

民藝+こまつ座『ある八重子物語』(別府市民劇場the Bestな舞台☆)






 別府市民劇場第120回例会は、劇団民藝とこまつ座の合同公演『ある八重子物語』。主演は(私には「永遠のNo.6」!)篠田三郎さんと(『キネマの天地』のヒロインといえば)有森也実さん。凄いな。

 以下、これからも各地の市民劇場での公演が続くようですのでネタバレは極力抑えめに。

 最初に言っておきます。

 自分が別府市民劇場に入って観た中で最高の作品でした。

 3時間。まったく退屈しなかった。

 最近、よく見かける気になる言葉遣いに、何かしらネガティブな表現をした後に「良い意味で」とか(褒)などと言って、褒めているのかけなしているのかわからない非常に失礼な良い方が氾濫しているように思えてならないわけです。「ほんとに酷い!良い意味で」とか「ほんとに最低!!(褒)」みたいな。なんと言いましょうか、言葉の乱れと言いますか、褒めてるつもりが一周半回って逆に失礼極まりないと言いますか(悲)

 さて、この舞台『ある八重子物語』。非常に……台詞回しも話しの展開も、実に回りくどいのであります!極めて良い意味で。(今だけ許してくださいね。本当に良い意味で「回りくどい」のであります!)

 そして、物語の構造がめちゃくちゃに多層構造で複雑面妖極まりない!(褒)主題は水谷八重子さんのはずなのだけれど、その八重子さん本人は出てくる事なく「水谷八重子推しの人たち」「新派好きの芝居ファンの人たち」の姿を通して水谷八重子がいかに素晴らしい「女優」であったかを浮き彫りにするというもの。(ちなみに、私は普段意識して、「女優」という表現は極力使わずに女性も男性も区別なく「俳優」という表現を使用しています。が、この時代背景の中で、作者は「女優」という呼び方をとても大事にしているのであります)

 だって、脚本が井上ひさしさんだもの。

 むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく……と続いていく井上脚本の「むずかしいことをやさしく」のやさしく喋りまくる部分を徹底的に深掘りして枝葉が伸びてって結局「木の幹はなんだっけ??」っていう感じの「あれ、この会話何の話しだったっけ?」「あ!そうだよ!あんたと月乃さんの馴れ初めを聞いてたんだろ?今まだ出会う前の前の、そのまだ前の段階じゃん」みたいなそんなやり取りが、とにかく面白くて心地好くて、かえってわけわかんなくなりそうなところ。ちゃんとそこは、話しの本筋がきちんと伝わるように出来ているのが凄い。(だって、井上ひさしだもの)

 あれだけ「やくたいもない」ようなやり取りをしているようでいて、ちゃんと緻密に計算されているような。

 そう。前半の、あの花代さんを前にして、おかしくなった先生が口走った戯言(失礼)に対してのラストの花代さんの「返歌」の如き台詞に、胸がムギュ〜〜っとしてしまいましたよ。あれは、たまらなかった。久しぶりのこの感覚。

 最近、先輩世代の俳優さん達の演じる「恋」に胸掴まれるようになっていまして。どうした自分。おかしいぞ自分。ちょっと橋のたもとで頭でも冷やして来いというわけでございます。

 
 
 「人は誰しも懸命に戦っている」と作者は言います。八重子を語る劇中の庶民のひとりひとりが、この戦中戦後の大変な時代と戦っていました。その戦うエネルギーとしての演劇の可能性についても気付かせてもらえる傑作舞台だと、私は思いました。

 今もなお、演劇の力は「変わらずに」必要のようです。それが幸せな事なのかどうか、についてはちょいと考えてしまいますね。

   


Posted by にいさん at 2024年01月31日 15:32