にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
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僕は沖縄でラジオと出会った。(ROKブログ大賞エントリー記事)

2007年の2月5日、月曜日。この日のお昼に僕は沖縄の那覇でレンタカーを借りました。そこで借りた白い軽自動車が僕にとって、ある意味運命の車になろうとは、この時には夢にも思いませんでした。

僕は、この前の週に劇団の仕事で東京から初めて沖縄入りし、石垣島、宮古島の学校を回って話しをしてきました。

学校や幼稚園、子どものいるところならどこへでも出向き、子ども達へ演劇を届ける為の橋渡しをするのが僕の仕事です。

いよいよこの日、2月5日から、沖縄本島での仕事がスタートをしたのです。東京から沖縄へ通い始める生活がスタートしたばかり、僕は慣れない南の島で、心細さと高揚感とが相半ばした気持ちでドキドキしていた事を覚えています。

頼れるのは自分だけ。寂しさがないわけではないが、今は忘れよう。

そんな心境で迎えた那覇での仕事の初日。そのレンタカーのお店で、借りた白い軽自動車が どうも怪しい・・

引き継ぎをした前任者さんが安いレンタカー屋さんを紹介してくれたのだけれど、整備が微妙に怪しい・・。ブレーキが異様に効きすぎる⁉︎(効かないよりは良いかもしれないが。)エアコンがあまり効かない。(この時期でも暑かったのを覚えています。)そして・・

ラジオがAM専用?

うそ⁉︎まじで⁉︎

僕は 外回りの仕事をしている時にはいつもカーラジオでFMの番組を好んで聴いていました。

AMの番組は、どちらかというと、先輩世代の人たちの聴くラジオ?というイメージが何故か色濃くあったようです。それにその頃の自分は東京のFM波の番組にかなりはまっていました。

車に乗り込んで、そんなわずかなショックの後、とりあえず その かかっていたAM波の番組を聴きながら白い軽自動車を僕は沖縄の道へとアルカセました。

しかしそこで流れてきた音楽は、忘れもしません。

ラフ&レディの「背番号のないエース」。

懐かしい。

我らが青春の頃 。昭和の、痛い?酸っぱい-思い出と共にある歌。

これが、僕が初めて「ティーサージ・パラダイス」を聴いた時に流れていた曲でした。

ブレーキが若干強い白い車を運転しながら、レンタカーへの不満はいつしか忘れ、このAM波のラジオ番組が 僕は気になり始めていました。

この番組のパーソナリティーの男性の言葉が、なんと地元のなまり?方言なのでしょうか?微妙に意味が汲み取れない単語が次々と出てくるのですが、その言葉の響きがどうにも気になって気になって仕方がないのです。パーソナリティーだけではなく、ラジオに投稿するリスナーさんもまた地元感丸出しの これまた濃い沖縄の方言が溢れるようにラジオから流れてくるのです。(!)

こんなAMの番組は聴いた事がない。というか、こんなラジオ番組は聴いた事がない。そもそも東京では、こんなワイルドな⁉︎会話は絶対に聴けない。(笑)

この不思議な言葉はなんだろう?

そしてこの不思議な親密さはなんだろう?

この不思議なやり取りに、いつしか自分は引き込まれていました。

ひーぷー を名乗るこの男性は、ぐしかわ-というところの人間らしい。リスナーさんの訛りにも、住む地域によって違いが色濃くある事がなんとなく伝わってきました。そして、一見 パーソナリティーにしては無愛想に聴こえなくもない ひーぷーを名乗るパーソナリティーの 気持ちの良さ、さりげない優しさのようなものも次第にわかってきました。どうやら、ひーぷーを名乗る男性は悪い人ではないらしい。そんな感想をぼんやりと思った事を僕は覚えています。(そもそも、悪い人が こんなお昼のワイド番組をやるはずがないのですが・・)

この日は番組が終わる前に仕事の打ち合わせに入った為、フルでこの番組を聴く事になるのは、この翌日からでした。

翌日には「チャットステーションL」という番組も初めて聴く事になります。

ティーサージと共通のリスナーさんも多数いる事。こちらはよく笑う女性のパーソナリティーである事。みーかーを名乗るこの女性は、僕がそれまでイメージしていた沖縄のおばちゃ・いや、沖縄のお母さん像そのものでした。(本当によく笑い、よく泣き、喜怒哀楽をはっきりと表現するおねえさん・・)本当にこんな人が実際にいるのか?と感動的な気持ちになりながらいつしか番組に引き込まれていました。その頃は「小さいおじさん」の話題がよくあがっていた気がします。

ティーサージはリスナーへのアンケートを主題にしているが、こちらは毎日話題のテーマを設定し、それに沿ってリスナーが投稿をしていくという-これだけ聴くと、どちらもいたって「普通のラジオ番組」に聴こえるが、全然 それまで僕が抱いていた「普通」ではない!

「沖縄の普通」は普通ではない!

そんな言葉が浮かんできた事も覚えています。

そして、このふたつの番組に投稿しているリスナーさんが、とてつもなく魅力的に僕には映ったのです。(聴こえたのです-というべきでしょうか・・)

この二人のパーソナリティーと、番組のリスナーさんとのやり取りを通して「沖縄」というものを僕は知りました。

この番組を通して見る(聴く?)沖縄が 「正しい沖縄の姿」であるのかどうかは今もってわかりません。しかし、番組を通して僕が見た沖縄は 「とてつもなく魅力的な沖縄」だったのです。

沖縄の独特の風土、文化、季節の感じ方、ものの捉え方。住む場所が違うとこんなにも違うものでしょうか。他の日本のどこかと、沖縄は違う。そんな事も感じました。

いつしか、このふたつの番組に文字通り励まされ、このラジオ局・ラジオ沖縄という「ローカル」にこだわったラジオ局全体にも興味が湧きました。

僕は、番組を通して聴いていたリスナーさんといつの間にか友達になっていました。僕はパーソナリティーを ひぃぷぅさん、みぃか〜さんというふうに、さも親しげに呼ぶようになり、いつしか、僕が送った投稿メールが、ラジオから流れてくるようになりました。(ラジオ投稿なんて、それまでの30数年の僕の人生で経験のない事でした・・)


いつしか僕は、沖縄でひとりではなくなっていました。


東京から通っていたのも、もう昔のはなし。今 僕は沖縄県民になりました。数年前に、実家の大分県別府市から、沖縄の那覇へ住民票を移していました。


あの時、今はもうないレンタカー屋さんで、あの白い軽自動車に乗らなかったら・・。あの時にラジオの周波数が864でなかったら・・。あの時ラジオから ラフ&レディの「背番号のないエース」がかかってこなかったら・・と、ふと 思う事があります。

とりあえず、それは 運命づけられた偶然と思う事にします。





(写真は、そんな とてつもなく魅力的な仲間と共に。)





























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Posted by にいさん at 2015年06月16日   01:24