にいさんの しらしんけん☆

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読書会もいろいろ。。。(山本多津也 著『読書会入門』で猫町倶楽部さんを知る)

読書会もいろいろ。。。(山本多津也 著『読書会入門』で猫町倶楽部さんを知る)



 地方都市の片隅で、小さな読書会を主宰している身としては、図書館で反応せざるを得なかった(手に取らない選択はなかった?)一冊でした。山本多津也さんの書かれた『読書会入門』。日本最大規模の読書会「猫町倶楽部」を主宰しておられます。名古屋に始まり東京、大阪と、今や全国的にその輪は広がっているとの事。(お恥ずかしい事に、私は「猫町倶楽部」さんの事をこの御著書で初めて知りました)なんと、多い時には300人の参加者で溢れかえるそうなのです!ちなみに私の「沖縄式読書会」は現在の期間は3〜6人。コロナ禍が明けた場合でも最大8人かな、と考えている為……とてもとても桁が違いますね。比較をする事さえ、冷や汗が出そうになるくらい(笑)度肝を抜かれる規模でやっておられる読書会です。

 そんな読書会の「規模」から、その「成り立ち」「考え方」「スタイル」に至るまで、何から何までが違う超有名な読書会さんなのでありますが、段々と共通の思いというか、共通の形と言うと烏滸がましい気もしないでもありませんが、それでもやっぱりその形に行きつきますよね。というところもまた実に興味深かった。いかに参加者のハードルを下げるか?(大人数であっても)グループ分けの上、6人〜8人の単位でひとりの進行役を置いて、ルールを明文化しない等々。ひとりひとりの参加者のことを誠実に向き合っておられる姿勢が伝わってきました。(読書会によってはルールを毎回ホストが読み上げて「こうした行為はやめてください」という形で行っている読書会もございます。それもそれでひとつのやり方なんですけどね)ボランティアで一緒に取り組んでおられる皆さんの活躍ぶりも凄い。

 ところでこちらの「猫町倶楽部」さんの読書会は元々ビジネスの観点から、本を読み学んでいこうという(あらゆる意味において、私からはかなり遠い発想というか、この部分だけ読むと、まず交わることすらなさそうな??)そんなところから出発されておられた『名古屋アウトプット勉強会』(ビジネス書を選書し皆で読んで語り合う場)として始まったそうです。しかし、頼れる相棒の方から文学も必要じゃないのか?という声も受けて『名古屋文学サロン月曜会』という小説や詩などの文学を扱う読書会も開始して、以来この二本柱に加えて、作家さんのゲストも招いたり、特別企画なども交えながら行っているそうです。(驚いたのは、2019年の執筆時点、mixiのグループを活用したやり取りがまだ活発に続いていたという話し(!)懐かしいな(笑)凄い長い事続いているのですね)

 著者は、読書会には「課題本型」と「紹介型」のふたつのやり方があると丁寧に説明をしてくれていて、著者の山本さんは「課題本型」にひとつのこだわりを持っておられます。そして、初めての人にも是非「課題本型」をとお勧めをされておられます。一冊の本を参加者皆で読み込んできて、多様な感想を語り合うというのは、作品の解像度がより深く緻密に浮かび上がってくると共に、他の参加者さんからは「自分にはない見方」を示されて、まさに多様な見方を感じながらより深く本を味わう事が出来る-そんな課題本型の魅力も、私も課題本読書会で経験していますのでわかるところがあります。(私も今後やりたい計画のひとつには「課題本型読書会」もやってみるか-というのもあり、また、某古典の課題本読書会にも参加しています)その上で、別府市で小さな読書会を開催している人間としては、「紹介型」の読書会も是非多くの方にお勧めしたい!という気持ちをここで述べたいと思います。(くれぐれも、これはどちらが正しいとか優れているという話しではなくて、それぞれに魅力があるという話しでございます)私が運命的な出会いとして心掴まれた読書会が、沖縄で開催されている『本もあい』という「紹介型+α」の読書会。今私が別府市で行なっている『沖縄式読書会』のルーツとなったものです。沖縄の相互扶助の風習「模合」(県外でいう頼母子講に近い風習)を、お金ではなく「本」で行うというもの。毎月順番で変わる「親」に、その月の参加者から(親のリクエストに答えた)プレゼント本がどっさりと贈られるというものです。もちろんそのプレゼント本を選んだ思いを選者がひとりひとり話しをしていきます。プレゼントする本を選ぶ過程のワクワク感、それを紹介するドキドキ感、そばでそれを聴いている楽しさ溢れる多幸感。もちろんそれをドッサリ貰うという快感(笑)。その前段では、各参加者が最近読んだ本の紹介を披露してからの(←通常の紹介型読書会にあたる部分ですね)後半の(もあい(プレゼント)部分)に進むわけですが、このプレゼント本も含めて、参加者の皆さんの趣味がバラバラなところが私には本当に刺激的で、まず自分ひとりで書店に行ってもまず手に取る事はないものがほとんどだったのです。そこで出会った作品、新たに知って好きになった作家も数知れず。たまに、江戸時代の古文書とか、なんじゃこりゃ!?というようなびっくりする選書をされる方もいると更に盛り上がるのも「紹介型」の醍醐味と言えます。(これは、比較してどうこう言うわけではないけれど、紹介型読書会でなければ味わえない醍醐味だとは思います。最近別府市で行った中だと、点字の電話帳とか、三線の工工四の譜面本とか、そんな「びっくり!」も楽しみのひとつかもしれません)「最近本を読んでないんだけど」と言って昔読んだ忘れられない豪華なセット本を紹介してくれて盛り上がった回もありました。そんな展開もあるので、読書会初体験の方には、私としては、是非是非、お近くの「紹介型読書会」をお勧めしたいと思います。(くれぐれも、「課題本型」も「紹介型」どちらも違った素晴らしい魅力がありますので、著者の山本さんの仰る通り、自分と合う、楽しいと思える読書会を選んで参加されてみてくださいね)

 しかし「猫町倶楽部」さんのこのスケールは圧倒されるな〜。この「学び」に対する姿勢には心からの敬意を覚えつつ。私は「学び」というのは「遊び」の中に含まれているもので、目的にはしたくないかな、でも結果、めっちゃ「学び」になってるやん。財産になってるやん?という事はございますね。本との出会い、著者との出会い、本好きの人たちとの出会いというのは、文字通りの宝だと思います。自分の中に宝物が積み上がっていく感じ(それが読書会)。

 宝物からもたらされるForceを感じる時間……?と言ったところでしょうか^_^

 もっともっと、読書会に参加する人が増えると良いなと心から願いつつ。

 こちらも貴重な読書体験でした。(猫町倶楽部さん、覚えおこう_φ(・_・ )




 追記。Nさんのエピソードも、めっちゃ良かったですね。(一説では日本で最初の有名なネト○ヨさんで、読書量がもの凄い、そんなNさんを巡る「事件」とは?そこは、本書をご一読ください)


Posted by にいさん at 2023年11月11日   11:18