にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
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映画『笑いのカイブツ』を別府ブルーバード劇場で。

映画『笑いのカイブツ』を別府ブルーバード劇場で。



 別府市の別府ブルーバード劇場で、今年の私の注目作『笑いのカイブツ』を観てまいりました。

 あの「みねくん」が、今度は投稿の鬼に!?(ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』を参照)いやいや、岡山天音さんが、同じくラジオの投稿リスナーで登場してきて、『日曜の…』での「みねくん」とは正反対のキャラクターのカイブツはがき職人・ツチヤタカユキ(作者)として、怒って、キレて、大暴れ?でございます(あのTV番組の方は、もしかしてあれって「ケータイ大喜利」?あの時代か、って思いながら観ていました)。

 以下、ネタバレは抑えての感想。ですが、真っさらな状態からご覧になりたい方は読まないことをお勧めいたします。

 不肖ながら、私自身(今は比較的ゆるやかな、時々投稿リスナーでございますが)沖縄のラジオを中心に、ラジオ投稿を趣味とする身でありまして、しかもあの噂の有名はがき職人さんの、夢のような伝説が映画で描かれるという話しで、しかもその主人公を岡山天音さんが演じるというではないか!?という事で、これは観ない理由がなかったという、そんな作品。

 私は、ラジオを聴くこと、たまに投稿もすることも含めて趣味にしながら、ラジオから元気をもらってきた人間であります。周りには(私自身が投稿している事もあって尚更意識せずにはいられない)敬愛してやまないレジェンドリスナー、カイブツリスナー(失礼)も、おられます。

 しかしここに登場する(実在したリスナー)ツチヤタカユキさんは、私の知るどの凄腕職人さんとも違っていた。

 そりゃ、あなたいつ仕事してるんですかwとか、あんたどうかしてるよ(リスペクト!)という感じの先輩とか、人間関係不得意な人とか、そりゃ、見える範囲でいらっしゃるのはいらっしゃるけれども、それらの人間味ある個性を突き抜けて、ツチヤさんの場合はもはや、これは「ジェダイの修行」レベル???

 レジェンドの称号にも飽き足らず、ひたすら24時間「笑い」について考え続けて、憧れの芸人さんにも認められ、番組の構成作家にまで昇りつめたという衝撃の実話。そしてその苦悩について。

 もはや、趣味のレベルとか、仕事のレベルさえも超えた求道心というか。

 単に出世や成功、のし上がるという以上に、「正しき形において笑いで勝負するんや」という。自らの流儀にむしろ潔癖な、というか。

 確かに、至近距離で見詰めると「めちゃくちゃ痛々しい」こと甚だしい。にも関わらず、しかし痛ければ痛いほどに、距離をとってみると「可笑しく見えてきて仕方がない」という、映画自体そんな描き方に徹底していたように思います。(脚本には足立紳さんも参加!監督は滝本憲吾さん)

 総じて悲惨な状態にも関わらず所々笑えてきて仕方がなかったという。それは、ひとつには、その後の少し未来の彼を(この経験談を物語として書き残しているという事は-と)一定程度知っているという状態から「過去の彼の姿を見ている」という前提があるからこそ、悲惨な場面を笑って見られた面はあったかもしれません(人によっては、かなりきつい場面として映る人と、ここは分かれそうだな)。

 この「昇っていってからの経緯」についてをどう見るか、ネガティブな見方をするのかポジティブな見方をとるかも、人それぞれかもしれません。ま、簡単に良かったとか悲惨だったとか地獄だったとか不幸だったとか、そんな評価は、他人には言えぬ話しでございます(ちなみに私は、かなり、ポジティブに響いた観客でした)。

 ひとの地獄を嗤うな。

 そんな映画でした。

 また一方で、

 お前にはその地獄にいて欲しいんだよ。

 というピンク(菅田将暉さん)の台詞も良かったですね。

 それから、業界の「力持っててうまく回してくれてる常識人ぽい大人たち」には、私もツチヤさんと同じ言葉を投げかけたくなりました。だから、お前こそ、そこの世界で残れよと……そう思わなくもなかった。でも、そこから選び取った道を、人間関係不得意なままで堂々と生き抜いている作者に声援を送りたくなる、そんな作品でした(いや、観ているこっちが彼に背中を押されているのか)。


 よし。自分も頑張るぞ!

 ラジオ投稿。





 (そっちかよ……)





 追記:ヒーローが、敵の思想に心が揺れた-ってぇのは、確かに面白かったけど、最近のアメコミ映画だと普通にありそうな展開だな〜と思って、苦笑いしてしまいました。


Posted by にいさん at 2024年02月18日   22:41