にいさんの しらしんけん☆

島ないちゃーの劇団員。上村洋さん 通称にいさんのブログ。
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【ゴーヤーとカボス読書会】in 沖縄・ブッキッシュ!(前編)

【ゴーヤーとカボス読書会】in 沖縄・ブッキッシュ!(前編)



 2020年から大分県別府市で開催してきた『沖縄式読書会』。この読書会の基礎となった本場沖縄の『本もあい』実施会場でもあります西原町のブックカフェ・ブッキッシュさんにて(里帰りイベントのような?)昨日3月3日『ゴーヤーとカボス読書会』と銘打ち、開催してまいりました。

 「任意団体ゴーヤーとカボス」初の県外出張(!)

 本もあい参加者さんをはじめとして、久しぶりの読書会ですという方も。「初めまして」の参加者さんともお会い出来て嬉しかったですね。当初は6人くらい集まってくだされば…と思っていたところが、なんと見学の方おひとりも含めて10人の参加というゴーヤーとカボス史上最多の参加者数に(ひとりが見学で、9人での読書会進行)。いつもは別府市で2時間のところ、今回は3時間でも足りないくらいに、大いに皆さんに語っていただきました(とにかく盛り上がりました。ちょっとこれまで記憶にないくらいに)。

 さて、そんな今回の沖縄での読書会。集まったのは、こんな本たちでした。

 辻村深月『ツナグ』『ツナグ 想い人の心得』(もう会いたくても会うことは叶わない。そんな向こうの世界とこちら側とを結び付けるのは、電話番号?それは、向こう側の人にとっても「一回限りの機会」であり……とても惹かれるストーリー。しかし、なんて切ないんだろう。あらすじだけで、胸がキュッと締め付けられるような気持ちに)

 小川糸『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』(最近まで新聞連載で読まれていたそうで-新聞連載小説の読者さんって結構いらっしゃるんですよね-単行本化してすぐに手に入れたという作品。2作品共に話しが繋がっている事がわかり『キラキラ共和国』の前日譚『ツバキ文具店』も読んでみたそうです。鉛筆や紙の種類について等々、文房具好きにもたまらない小説のようです。おばあちゃんとのエピソードにも聞いているだけで涙が)

 土橋章宏『身代わり忠臣蔵』(ご存知忠臣蔵の吉良上野介を主人公としたコメディ!映画化もされていたのですね。「身代わり」とは?吉良上野介は実は……これ以上は書けませんが、表紙のカバーにもなっている通り、映画ではムロツヨシさんが主演との事、これは観てみたい!忠臣蔵ファン必読の作品だそうです)

 丸井諒子『竜の学校は山の上』(大ヒット作『ダンジョン飯』の作者の描くコミックファンタジー。ケンタウロスの人類?に、いわゆる現実での人類は「猿の人」?他にも竜の人もいらっしゃり、多種多様な人たちの文字通りの共生社会。ケンタウロスの人たちは働き者で睡眠時間も少なくて「生産性の高さ」から重宝されるが故に……と、そんな恐ろしき予感と、不思議な人間味に溢れたファンタジーが展開されていきます)

 桃野雑派『星くずの殺人』(新時代の密室殺人!?それは宇宙空間で。多くの人々が宇宙旅行に行く時代に、それは起きた。宇宙船のパイロットが殺害された。それもロープで?そこは無重力の空間で、誰も入れないはずの現場。そして、そこに乗り合わせた乗客たちの-7千万円を払い宇宙旅行へと赴いた-思いと共に描かれていくという本格推理未来小説)

 高野秀行『謎の独立国家ソマリランド』(内戦が酷いソマリアの中で次々と独立国家が生まれている?中でも「ソマリランド」という独立国家の噂を著者は耳にします。国連にも承認されていないその独立国家群の中で、ソマリランドだけは?実に見事な国家運営がなされているらしいぞ?著者は周辺の「海賊国家」と言われる地域や、北斗の拳に例える地域にも言及しながら、そして遂に、謎多き独立国家へと向かうのであります。高野さんの着眼は本当にいつも目から鱗ですね)

 雑誌『精神看護』(シリーズ「ケアをひらく」の解説特集号。エッセイ「居るのはつらいよ」が凄く面白い!ケアの大切さと、大変さ。これはまったく他人事ではなくて、友人、家族、いろんな人の顔が浮かんできました。看護やケアの現場にいる人だけでなく、広く知られて欲しい内容のようです)

 笹倉尚子、荒井久美子『サブカルチャーのこころ』(サブカルチャーと心の関係。御紹介曰く「オタクのカウンセラーによるサブカルを通したアプローチ」それ面白いですね!好きな事-サブカルの作品、ジャンル、なんでも-を通してカウンセリングが展開されていく?なんと興味深いことか )

 上間陽子、信田さよ子『言葉を失ったあとで』(沖縄で地道な社会調査を続ける上間陽子さんと、臨床心理士でDVの問題にも精通されている信田さよ子さんによる共著。「聞く」ということの実際について。今まさに語られている「被害」「加害」をめぐる理解の仕方とは?これもどうしても読んでおきたい一冊に思いました)

 ロバート・コルサン『統合失調症の一族』(アメリカの、とある将校の家族にまつわるノンフィクション。その家族では、統合失調症を抱えた人が6割に至るという事を著者は詳しく調べていきます。「遺伝か?環境か?」「6人の子どもたちが見たという幻覚とは?」それらの現象、症状の原因とは。選者さんが仰るには、しかし実は希望の余韻が残る話しでもあるのだと。気になりますね……)

 逢崎遊『正しき地図の裏側より』(なんと、本模合の生みの親でもある先輩が駆け付けてくれて「さっき夢中になって読み終わったところ」と紹介してくれた読みたてほやほやの一冊だとの事。著者の出身とは裏腹に?場面は雪深い情景で……、人の「情」というものをとても感じさせられる小説。金曜日に手に取って、面白くて時間も忘れて一気に読んでしまったそうです。今、沖縄の書店でも「イチ押しの一冊」として置かれていりる注目作)

 津村記久子『この世にたやすい仕事はない』(中・短編集のこの一冊。なんなんだこの仕事は?モニターをじっと見つめる主人公と見られる対象の女性は身じろぎもせず、と思いきや!?この奇妙なお話しが、如何にして「浮遊霊がブラジルに行く話し」に繋がるというのでしょうか?気になって気になって仕方がありません)

 小津夜景『いつか たこぶねになる日』(漢詩と、フランスの日常。南フランスのニース在住の俳人である著者が、そこでの暮らしの日々を、先人たちの詩を織り交ぜながら、丁寧に言葉を紡いでいくという、なかなかのエッセイです)

 松岡孝志郎『那覇へ、別府から。』(著者と主催者とを繋いでくれたのはブッキッシュの店主さんでした。こちらのお店にも本を送ってくれたという松岡さんの思いの詰まった一冊。20年歩いてきたという沖縄の街並みと故郷別府市の風景の写真の間に著者の言葉が綴られていきます。写真がとにかく素敵な一冊でありました)

 土門蘭『死ぬまで生きる日記』(「死にたい」という気持ちを持つのは何故?カウンセラーとの対話と、書くという行為を通して、自分自身と向き合っていく著者-それはきっと読者も共にでしょうか?-この「死にたい気持ち」との向かい合いは、webで多くの反響を呼び起こし、書籍化にまで至りました。生きづらさを抱えた全ての人へ知らせたい一冊)

 豆塚エリ『しにたい気持ちが消えるまで』(図らずも、店主さんの紹介された一冊と「あ、繋がってるかも」と言い合うという、そんな驚きの並びに。高校生の時に「飛び降り」た著者がそこまでに至った経緯と、そして現在に至るまでの道のりの中で、いかに「しにたい気持ちが消え」たのか。いや、実際のところは、今どういう道を辿っているのか……については、是非手に取って、読んでみて欲しい一冊です。いつもは沖縄に関する題材を中心に選ぶところ、今回は、大分県在住の作家さんのタイトルを選書させていただきました)

 
 今回は、紹介して下さる本だけで凄い分量ですね。さすがは「本もあい」の地元です。次はいよいよ後半のプレゼント交換に入りたいと思いますが……今回は前半だけでもボリューム満点というわけで、

 続きは後編で。


Posted by にいさん at 2024年03月04日   18:04